雑味の多い読み聞かせ
料理本のレシピを制覇したい欲に駆られつつも、冷蔵庫の食材をうまいこと消費しなければという状態だった。
昼は余っていた豆乳をスープにし適当な野菜と余っていたハムをぶち込んだものを作った。
ただ切って入れるだけなのに、野菜が多いというだけでなんだか凝った料理のような気持ちがするのはなぜだろう。
親子揃ってお腹いっぱいで自室に戻り、借りてきた絵本を読む。
今回選んだのは「ねこのはなびや」という本だ。
渡部有一氏の作品で、黒白トラ三柄の猫たちが、それぞれに趣向を凝らした打ち上げ花火で勝負するというお話だ。
水彩タッチながらも豪快な色彩とデザインの花火の絵が魅力的。
特にクライマックスのナイアガラの滝のシーンは超ワイドページになっており、子の視覚を180度覆えるような仕掛けになっていた。
読んでいる私の方が思わず関心して「おおーっ、すげぇ」と語りが止まってしまうほどだ。
だいたい絵本を読み聞かせるときは、つい私の感想も挟んでしまうので、子は集中できていないだろう。
番組のナレーションで、ナレーターが突然自分の感想など挟んでくるようなものである。
なんとも雑味の多い読み聞かせである。
それ以前に、対象年齢をまったく無視しているので、物語に集中するもへったくれもないのだが。
読み聞かせが終わったあと、子がうとうとと眠ってしまった。
入ってくる情報が多いのも大変ねと思った。
夕方1時間ほど使って、バスでお出掛けをしようと思った。
昼寝してややご機嫌な子とともに抱っこ紐でバスに乗る。
拘束したままでじっとしているのが苦手で泣き出すという前回の反省を生かして、バスに乗るや否や抱っこ紐から解放し膝の上でしっかりホールドするという技を身につけた。
子の首が座り、腰も丈夫になってきたからこそできる技である。
こちらの目論見通り、信号待ちでバスが停車している間もぐずることなく快適に過ごしてくれていた。
1時間しか、とはいえ、買い物だけでは暇を持て余す長さだ。
せっかくなので散歩も兼ねてアーケードを少し歩くことにした。
市街地周辺では、珍しい見かけと挙動をするひとが1人や2人は必ずいる。
わたしの中では彼らを「春の人」と呼ぶ。
ここ数年でよく見ていたのは、茶色いランドセルを背負い、中原中也の詩集とアコギを手に街を練り歩くおじさんだが、
最近そのおじさんがアコギをリラックマのぬいぐるみに変えた新しい装いになっていた(お義母さん曰く、「コートは良い感じ!」らしい)。
もちろんそんな出で立ちなものだから、春休み目前で浮き足立った若者たちからは好奇と侮蔑の視線を注がれることになる。
「だい、行く?」「おい嫌ばい!」と、誰がおじさんにちょっかい出すか出さんかで男子高校生たちが集まってキャイキャイしている。
このチャレンジも、彼らを大きくするための佐世保でしか味わえないものなのだろう。
しかしあのおじさんは無理だ。
あのお笑い芸人・コラアゲンはいごうまん氏が必死のコミュニケーションを試みたものの、アコギを盾に無言で拒否され続けていたというのだから。
ああなった大人は誰よりも強いんだろうなと思いながら、デパ地下で買い物をして帰った。
最寄りのバス停から乗り込んで家路についたが、行きの運賃より60円高くてしまったと思った。
少額とはいえ、こだわりのないお金の消費ほど悲しいものはない。
夜はレシピ本を見ながら、よだれ鶏を作った。
本格中華がカンタンに作れる!と書いてあったが、まったくその通りで驚いた。
できない人ができるようになる教え方、という視点でもこの本はとても参考になる。
成功したことがとても嬉しい。
夫から「美味い」と言われて鼻高々になった。
なんて私を気持ちよくさせてくれる本だ。
そのあと夫は、わたしが「日本映画チャンネルで岩井秀人特集を観たい」というリクエストに応えるべくスカパー!の設定と格闘したあと、寿命が来ていて2時間でレッドゾーンに入ってしまうわたしのスマホのバッテリーを取り替えてくれた。
仕事終わりの激務で夫は疲労困憊だった。
夫はよく疲労困憊になると、キューバ出身の男性歌手にちなんで「疲労コンパイ・セグンド」と言う。
ちなみに乾杯のときも「乾杯・セグンド」と言う。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
3/14 ねこのはなびや仕掛けっぷりと色彩が素敵でした。猫たちのセリフもてやんでぃ節で、読んでて私が楽しかった。アドリブは擬音系は得意だということに気がついた。#読み聞かせ #絵本 #佐世保市立図書館
なんかすっごく距離が近く感じるクリアーさなのは気のせいですか pic.twitter.com/BNoGz3Uy7j
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年3月14日