春は奇人もオシャレになる
子が徐々に甘えたがりになってきた。
姿を消すと、「オイッ!」と言わんばかりの大声を出すようになったし、
目の前に立つと両手を広げてくるようになった。
また、泣きやまない時に座り抱っこしているとスンスンと泣き止む。
とにかくかわいい。
こんなに無防備に甘えてくる存在なんていまだかつて居ただろうか。
いや、いない。
お知り合いになったかたが飼っていた小型犬ぐらいだろう。
ときには放置もするのだが、泣くアクションを取るたびにわたしがこうして駆け寄るので、きっと見えないところでニヤリと船越スマイルをしているに違いない。
お義母さんの家に行き、子にお昼ご飯を食べさせた。
そのあと晩御飯と、子の離乳食を買いに行こうと思っていたが、満腹になったはずの子が意外にもぐずり始め、とうとうギャンギャン泣き出してしまった。
おむつは大丈夫。
抱っこしても座らせても揺らしてもだめ、唯一、両足を床につけて立つポーズをさせるとニコニコした。
ふむ、これは新しいアプローチだ。
「見える景色が全然違うもんね。知的欲求を満たしたまえー!って言ってるんだね」とお義母さんが言った。
「知的欲求を満たしたまえー!」は、どちらかというとわたしより夫である。
やはり将来は理詰めコースだろうか。
いやはや困った。
それにしても泣きやまない。
これでは外出どころではないし、お義母さんにとっても穏やかではないなぁということで、自室に連れて行きあやすことにした。
わんわん泣き叫ぶ子をあやし、弱まったところでソファに連れて行き添い寝する。
しばらくウンウンうなりながらぐねぐねしていたが、ようやく目をこすりだし、そのまま眠りに入ってしまった。
ああ…、これから買い物だったのに…、とおもいつつ、安心したのかわたしも眠気に襲われてしまい、
(ちょっとだけ、ちょっとだけ…)と自己暗示をかけたつもりが3時間半も昼寝をしてしまった。
夕日がかかった空にたなびく洗濯物を見て呆然とする。
もう1日が終わってしまった…。
横で寝ていた子を見ると、また目をムニュムニュこすりだし、両手をピンと伸ばして目を開けた。
おいおいかわいすぎか。
「わたしたち寝すぎちゃったねぇー」と、恒例の連帯責任感を出しつつ、外出の準備をする。
しっかり眠ったおかげで子の機嫌もバッチリだった。
家から15分離れたスーパーに行き、車を停める。
子をベビーカーに乗せ、店内に入ったところでいつも「しまった」とおもうのだが、大きいスーパーに関しては、備えつけのベビーカートを使った方が便利である。
自前のベビーカーは、帰りは楽かもしれないが、買い物途中で未精算の商品を載せるわけにはいかないし、持ち手の隙間にカゴがたまたまジャストフィットすれば良いのだが、どこでもそういくとは限らない。
カゴのサイズがあわないと、片手でベビーカーを押しながら回ることになり、とても動き的によろしくないのだ。
ぐぬ…とおもいつつ、ダメ元でカゴをベビーカーの持ち手の隙間にはめこむと、運良くジャストフィットした。
ちなみに、エレナのカゴは大きくて入らない。
子にとっては若干足の前が狭くなってしまうが、しばらく我慢してもらう。
うろうろしつつ目当ての食材をぽんぽんカゴに入れる。
レジで、お義母さんから「食費代はここから出してね」と預かったコインケースを取り出す。
ドラゴン退治にいそしむ神々しい聖ゲオルギウス的な男性が描かれたイコンのような絵柄で、金色の刺繍が施されている。
お義母さんが、ヨルダンかどこかの土産物屋で購入したのだという。
わたしのような、近所のコンビニにいくような格好をした30代の主婦が持つには少々存在感が際立ちすぎるアイテムだ。
無事に買い物を終えて帰宅する。
お義母さんと、どういう話の流れか、フィリピン人女性の魅力としたたかさについて話をした。
そして話題は、佐世保市街地をうろつくランドセルおじさんの話題へ。
先日わたしが見かけたときは、ブラウンのコートをお召しになっていたのだが、春に入ってから、ショッキングピンクのTシャツと巻きスカートに衣装が変わったのだという。
「わたし思わず服を見たもんね。いいなぁって、おもったよ!」
春は奇人もオシャレにさせるのだろうか。
そしてやはり、お義母さんの目の付け所はファッションである。
「服ばっかり見ていたから、顔とか髪色は覚えてないわ」とお義母さんは言った。
夜、夫の仕事が終わるのを待ちながら「からくりサーカス」のアニメを観ていた。
けっこう残虐なシーンが多いので、子の前で観るのはためらっていたが、ちょうどすやすやと寝ていたので、遠慮なくテレビにかじりついた。
昼間のギャン泣き疲れがここで出てくれたようだ。
加藤に頰を赤らめるしろがね(CV.林原めぐみ)にニヤニヤしながら、つい食欲も湧いてしまったのでラーメンを作る。
と、完成と同時に子が起きて泣き出した。
夜のミルクの時間だ。
しかもそのタイミングで、夫から電話があった。
ちょうどいま終わったのだという。
子のミルクの時間と、わたしのラーメンが出来たばかりだということを正直伝え、用事を終わらせてから迎えに行った。
ファミマで合流すると、チョコミントアイスの新作を差し出された。
チョコミントアイスを写したかったけど、背後のヤギが人間の上半身くっつけたみたいになっている。胸板厚めのやつ。#chocomint #chocominticecream #チョコミント
よっしゃー!と言って、自宅に直行する。
夫はしきりに、夜遅くに迎えに来てもらってすまないと言っていたが、
ふだん夫からしてもらっていることを思えばなんということはないのである。
家に着き、夫はわたしがつくった豚汁を少し食べて、一段落した。
わたしはさっそく、買ってきてもらったチョコミントアイスの封をバリバリと開けかじりついた。
「この時間からかよ」とさすがにつっこまれる。
今日食べてついた贅肉は明日落とせばいい、と反論したが、やはり理詰めで返され撃沈してしまった。
「寝ているあいだもカロリー消費する」「ミントのスースー感が」という論法もまったくだめだった。
てんで夫には歯が立たなかったし、たぶん贅肉もついてしまったんだろうけども、アイスは苦味がやや感じられるミント強めなテイストで、ビターチョコ味のコーンと相性バツグン。
要はとても美味しかった。
さすがに夫はクタクタになっていたので、早いところ子と一緒に寝かせて、わたしも少し記事を書いてから寝た。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
まさかの独学&設計図ナシ!とても気になっていた人です。面白い記事です。 https://t.co/IiMvHY8Dqw
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年4月16日