花見は抱っこ紐必須です
つつじが満開だというので、夫を送ってからそのままの足で子と長串山へ行った。
スマホは、基本的に家から出てしまえばWi-Fiの庇護から離れてしまうので、なにをするにも遅いしストレスフルである。
外に出るからにはスマホを捨てよと言われているようである。
しかし長串山に行くにはナビがないと困るので、なんとか無理やり起動させた。
何度目かのエラーを繰り返してようやく道が表示された。
さっそくナビは、わたしがふだん佐々方面に向かう時に使っている高速道路を無視して下道を指し示した。
今回は佐々ではなく鹿町町だし、ひょっとすると下道からの方が近いのかなと思ったのが誤りだった。
ナビはなぜか、かろうじて轍がうっすらと残る獣道を案内する。
山道の運転自体は慣れていたものの、ほんとうにこんな道を通ってみんな来るのかよ、とタヌキかキツネに化かされているかのような気持ちになった。
しかも基本薄暗い中でぐねぐねとカーブが続くので、さすがにお出かけ慣れしていた子もぐずって泣き出してしまった。
途中途中であやしながら、なんとか公園までたどり着く。
正規のルートから全然逸れた、迂回もいいとこルートだった。
「おつかれさまでした!」と爽やかに言い放つナビに「こっちはお憑かれた気分だけどな!」と悪態をつきつつ、不機嫌な子を車から出して外の風を浴びさせる。
そういえば夫が、最近のグーグルナビはあてにならないと言っていたのを思い出した。
ナビに対して全幅の信頼を寄せていたことにも反省だし、鹿町町までの距離をなめていたことも反省である。
こんなに遠いのに、よく前職で「気軽に行けるイベント情報」なんて書けたなぁと振り返る。
これじゃあ人によってはプチ旅行じゃないか。
ちゃんと距離感をもって情報を発信しなければならないと痛感した。
長串山公園の駐車場からは、すでに10万本のつつじか色鮮やかに咲いている光景が見えていた。
おお、とつい立ち止まり眺める。
タダで見る気満々だったがまさかの有料だったので、受付で支払いを済ませる。
さっそく、団体で来ていたお年寄りに声を掛けられた。
赤ちゃんはお年寄りとのエンカウント率をぐんと上げる。
こんにちはと挨拶をして、月齢を良い、性別を聞かれて答え、名前を聞かれて答え、子にアテレコをしながら話し、の繰り返しである。
いつもは笑顔に対して即笑顔で返すわが子だが、山道でグロッキーになっていたので、試合で負けたプロレスラーのようになっていた。
「いま起きたばかりで機嫌が悪くって〜」という一言も忘れない。
こういう大きな公園でお年寄りが多いなら全域ベビーカーでいけるっしょと思っていたのが甘かった。
一番見応えのある高台の絶景が、なんと階段だったのだ。
手前のベンチに腰掛けて、あえて北九十九島の景色を眺めながら休憩している風を装っていたが、内心は半端ない後悔と、抱っこ紐を取りに10分下の駐車場まで降りていくかという葛藤で心の針がブンブン揺れていた。
その間も3、4人のお年寄りに声を掛けられた。
「わたしたちは、ここまでね。上まで登るのは、からだがきついから無理」と穏やかに話しベンチに腰掛けるお年寄りたち。
わたしもこれぐらい潔くありたいものだが、どうしても上まで行きたかったので、抱っこ紐を取りにベビーカーを押して坂を下った。
再入場すると、受付のおじさんがびっくりしていた。
どうしても登りたいのかこいつ、という顔をしていた。
子も、「やれやれ付き合ってやるか」と言わんばかりに、だらんと体を預けてくれた。
一歩一歩が重い。しかし登るのだ。
のぼった甲斐はあった。
下よりも濃密なピンクの花絨毯と木々の緑、海と空の青を一度に視界におさめることなんてそうそうないだろう。
諦めてすやすやと眠る子をよそに写真を撮りまくった。
時計を見ると、すでに来園してから2時間が経っていた。
結局、頂上近くまできたが、お互いの体力と子の食事の時間を考えて引き返す。
500円分の元は取ったぜと達成感に浸りながら公園を出発した。
帰り道は、誘導員に案内された出口から出たのだが、大型バスも通れるほどの広く整備された道で、すんなり大きな道に出ることができた。
グーグルナビのあれは一体なんだったのか。
子はこの日も、離乳食3種をモリモリと食べ、ミルクせんべいをぶくぶくと食べた。
ミルクせんべいは、口から離乳食が産まれてくる感じが見ていて楽しい。
半分こしたはずだったが、先に食べ終わってまだ足りないというので、わたしの分もあげた。
そのあともミルクをくれと口を大きく開けて一気に飲み干した。
お出かけして体力を消耗していたのもあるのだろうが、実に良い食いっぷりである。
お出かけから帰ってきたお義母さんと話をしつつ、晩御飯の支度をする。
つくるのは、辛くない麻婆茄子とオクラとしめじのスープだ。
子はソファに寝かせていたが、もうかれこれ3回は落下しているので、机とクッションでバリケードを作ってからキッチンに立つ。
すると、放置されているのが気にくわないのか、子が泣き出した。
そろそろ昼寝するかなと油断していたので、がっつり料理から手が離せない状態になっていた。
泣き声は徐々に大きくなっていき、子は髪を振り乱して泣いていた。
料理が完成してようやく抱き上げるとピタリと泣き止み、いつもの船越スマイルを見せてくれた。
したたかになったものである。
自室に戻ると、子はお出掛けの疲れからかすぐに昼寝に突入した。
その隙に記事を1本仕上げる。
今週はこれで終わりだ。
夫からもらったブラックサンダーチョコミント味をぼりぼり食べながらキーボードを打つ。
昨年よりミント味がしっかりしていてバージョンアップしていた。
どのお菓子メーカーも、チョコミントに前向きになっていて、とても良いことだ。
夜、夫を職場まで迎えにいき、行くことになっていた選挙の応援演説会場までつれていった。
ガソリンを入れ、TSUTAYAで時間を潰そうかとしていたらすぐに終わったという連絡が来たのでいっしょに帰宅した。
わたしがつくった麻婆茄子は、美味しいと評価はいただけたが牛ミンチを使いすぎたせいでまぁまぁもったいない仕様になっていた。
もう1本ナスを足していいんじゃないかと思うほどの脂ギッシュ加減だった。
スープは野菜しか使っていなかったので、すっきりと味わっていただけたようだ。
AbemaTVの日村がゆくの、高校生フォークソング選手権コーナーを観ていた。
彼らの純粋な光とパワーに身悶えするおじさんたちを観るのがとても楽しかったしこちらも身悶えた。
日村さんたちと同じポジションだというのが嬉しかった。
あまりの眠さに首皮一枚つながった状態だったので、夫と子を寝室に向かわせ片付けをして寝た。
いい疲れではあったが、仕事もしていないのになんだかなぁ…と心のどこかで思った。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
袋かき氷がないのはショックでした。東京で夏は越せませんね。
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年4月19日