山ちゃんと蒼井優の結婚を夫に囁いて教えてあげる
わが家は2階建なのだが、そろそろ子の行動範囲を制限するアイテムを設置しなければならなくなった。
身体的な成長はとても嬉しく、日々新しい発見があって面白いのだが、それに比例して子の身に迫る危険の数も多くなる。
至極当たり前のことだが、こうしてあれやこれやと考えるようになるとなおさら実感するものである。
お義母さんと話していたのは、階段の端にバリケードを設置することだった。
はじめ夫が木の板でゲートをDIYしようとしていたのを、もうすこし簡単に出来ないだろうかということだ。
横の移動だけでなく、上下の移動も含めて子の行動範囲は日に日に広がってゆく。
早急にどうにかせねばですなという締めくくりで、その日は終わった。
関東に暮らしている妹2が佐世保に帰ってきた。
怒涛の連勤を終え、なんとか有給を勝ち取ってきたのだという。
わたしはその業界にいたことがないのでわからないが、かなり大変なことだっただろうと思う。
帰省が楽しみで2時間も早く空港に着いてしまったというから微笑ましい。
とりあえずこの日は、姉妹揃って母の家にお邪魔することにした。
一応母の日だし、という空気感があったが、なんだかんだお祝いしに行ったはずが結局母の手料理にさんざん舌鼓を打って満腹で帰るというのはお約束である。おもてなしをする立場がいつも逆転してしまうのである。
わたしは子の世話があったため妹たちより遅れて到着したが、ちょうど晩御飯の支度が終わりかけのタイミングだった。
妹2とは久しぶりの再会であるが、普段から三姉妹のグループラインで他愛もない話をゆるゆるとしているため、離れている実感があまり生まれない。
前回帰省したときは、わたしの子の首もまだ座っていないときで、それからするとかなりの久しぶり感があるのだが、大人になってしまうとてんでそういうものがない。
老けたね痩せたね太ったね、というのはあるかもしれないが、そうなるには年単位のブランクが必要だ。
ラインで交わした会話の続きをするかのように、ぬるく言葉を交わす。
そういえば、家にいて身動きが取れないとき、別室にいるお義母さんにラインでメッセージを送り、その後そのまま会話をしたりする。
おしゃべりと活字のコミュニケーションに境界線はないのかもしれない。
今回の母の手料理は、妹2のリクエストだった。
どれも、以前飲食店を経営していた母の現夫さんが母に伝授したレシピだった。
もちろん美味しいからでもあるのだろうが、それを初めて味わったのはきっと、佐世保を離れた母とやっと再会できたぐらいの時期だったはずだ。
現夫さんのこと、母の新しい生活のことを聞きながら、それに重ねるように自分の近況を話していた。
自分の存在を母に刻み込もうと必死になりながら味わった料理で、とても心に残っているメニューなのだろう。
わたしもここしばらくは味わったことがなかったので、とても懐かしかった。
お腹いっぱいになり、女4人であれやこれやと話す。
その合間合間で母が買っている猫・きなこ(メインクーンの血が入っているらしく、とてつもなくでかい)が割り込んできたり妹2を威嚇したり、どでかい図体で2mの棚上にドスンとジャンプしたりした。
母が撮ったきなこの写真。猛猫注意レベルである。
気がつくと時計の針はすっかり日付をまたいでいた。
「母親がこんな時間までいて大丈夫か」と現夫さんに心配され、こりゃいかんと帰る支度をはじめた。
帰りながら話していたつもりが再び椅子に腰かけてしまい、もう2、3別の話題に移ってしまったぐらいでもう帰ろう、となった。
母の家にくるといつものことである。
ほとんど車がいない国道をひた走る。
こんな1人でのドライブも久しぶりだった。
昔読んだ絵本「おしいれのぼうけん」に、主人公の男の子2人が悪者のねずみばあさんの追手から逃げるため、真夜中の高速道路をはだしでひた走るシーンがあった。
とてつもなく絶望的なシーンなのだが、高速道路を照らすオレンジの光や、その後2人を助けにくる愛車(ふだん遊んでいたミニカー)の存在がとてつもなく頼もしく感じるのである。
そうこう思い出しているうちに家に着いたのは夜中の2時だった。
ものすごく眠かったので、でろんとまぶたが勝手に降りてしまったが、4時頃に子の泣き声で目覚めた。
それからなんとなく眠れずTwitterをだらだらと見ていたら、南海キャンディーズの山ちゃんと蒼井優が結婚したというニュースがあったので、寝ている夫に囁いて教えてあげてから寝た。
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