赤い彗星よりも大切なこと
天気予報を見ると、6月下旬からガッツリ雨模様となっていた。
なので、晴れているうちに用事をもろもろ済ませようと、子を家族に預けて西海市へ行ってきた。
3ヶ月前にも訪れた、あの場所に行くためだ。
黄金色の夢をみにゆく - ヤマモトチヒロのブログpkyamamoto.hatenablog.com
車で1時間半の工程を運転する。
休憩がてら、途中で7のつくコンビニに立ち寄った。
山わさびが効きすぎているとわたしの中で話題のローストビーフサンドイッチを食べた。
やはり効きすぎていて、眉間にしわが寄ってしまう。
とにかく大好きなレア肉部分に、舌の感覚を集中させることにした。
ほうじ茶を流し込み、一息ついてから出発した。
運転には慣れているので余裕だと思っていたが、片道1時間半、誰とも会話のない運転は少々こたえた。
道の途中で、さびしさを紛らわせようと「この道で良かったよね、あっ間違えた、もーやだー」と独りごちたが、いまいち効果は実感できなかった。
やっとのことで目的地へ到着した。
家族に子を見てもらっているうえ、移動時間が長いので実働時間は短い。
ササッと用事を済ませる。
ちょっと休憩しようと、以前訪れたカフェに再び入店した。
そのとき優しく対応してくれたママがベンチでのんびりとくつろいでいたので、コンニチワ、と声を掛けた。
彼女はいらっしゃい、といいながら、目の前に留まっていたシオカラトンボを指差し「この子さ、わたしのママの生まれ変わりかもしれん」と言い出した。
わたしのことを覚えていてくれているのかも定かでないまま会話を進めていくと、どうやらこのシオカラトンボは何度も同じ場所に訪れるのだという。
死者の魂が昆虫にやどり、何かを伝えようと目の前に現れるというのはなにかと聞いたことがある話だが、ママはその説をいたく信じているようだった。
「うん、決めた。ワタシ、この子のこと今度からフサちゃんって呼ぶわ」
と、ママがシオカラトンボに故人の名前をネーミングしたところで、わたしは改めて先日はどうも、とご挨拶をした。
ママは何度か記憶をたどり、ああ、ああ~、といった調子でわたしのことを思い出してくれた。
そしてマスターを呼んでくれたので、わたしはかき氷をオーダーし3人で会話をしながらシャクシャクと食べた。
この日は真夏日とまではいかないが日差しが強く、鍾乳洞目当てに訪れるお客さんも多かった。
そんな人の流れを見ながら、ちょっと鍾乳洞に行ってもいいかなとおもっていたが、すっかりかき氷で体が冷えてしまったのでやめておくことにした。
「シャア、って知っとる!?」と唐突にママに聞かれたので、
少し戸惑いながらもすっごく早口で「あのガンダムのですかね、赤い彗星のやつですかね」と答えたら、どうも違っていたらしく、この周辺の方言で「おかず」的なものを指す言葉らしい。
この辺で作業をしている兄ちゃんたちが、「ママ~、腹減った、しゃあばちょうだい」と冗談でねだってくることがあるのだそうだ。
「ホント、銀座の母ならぬ七ツ釜の母ですね」と、相手に伝わりにくいジョークで答えた。
帰り際に、近所の畑で採れたトゲ付きのキュウリとビーツをもらった。
ビーツの説明だけで10分、「とにかく赤くなるから量に気を付けて」というフレーズを5回ほど言われた。赤い彗星よりも大事なことだった。
丁重にお礼を伝え、その場を後にする。
帰宅したのは午後6時近く。子を預けてからゆうに6時間近くが経っていた。
帰り着くと、夫と子と猫が同じ空間にいた。
一瞬で癒された。
次の日、3時間の運転と、少し登り道を歩いただけなのに謎の筋肉痛に襲われてしまった。
体力落ち過ぎだろうと危機感を抱いたのはいうまでもない。
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肉の写真を見ながら夜を過ごす#夫めし #文具 #ステーショナリー #ローストビーフ