食べこぼしを掃除してくれるアリ
大雨の日は、心の中で「やった」とおもう。
子1の散歩に行かずに済むからだ。彼女の散歩は、隣家に住むお義母さんも巻き込みつつとても長い。
しかし窓にもたれかかり、じっと外を見つめる姿は、見ていてちょっと心が痛む。
はやく止むといいね、と声を掛けて子ども向け番組を一緒に見ていたが、飽きてしまったようで昼寝に突入してしまった。起きて雨が止んでたら散歩しよう、と呟いて床に寝転んだ子1を抱えあげベッドに運んだ。
子2は、わたしがものを食べているときにとても敏感だ。テレビを観ているときやパソコンを打っているときなどは反応があまりないのに、美味しいものをむしゃむしゃ食べているときに限ってなぜか泣く。これは出産後、産院で同室だったときから変わらない。よほどわたしの咀嚼音がうるさいのか(クチャラーではない)心の声が漏れ出まくっているのか、本能的になにかを察知しているようだ。
産後の生活にも少し余裕が出てきたので、網戸の張り替えをした。もちろん子らが寝ているあいだにだ。
古いゴムと網をバリバリとはぎ取り、新しい網をピンと固定しローラーでゴリゴリとゴムを枠の中に押し込んでいく。
ゴムがガチッと枠の中におさまる瞬間がとても気持ちがいい。
久しぶりで手際が悪く、多少歪んでしまったが大丈夫だろう。
子を起こさずに遂行できたことでとても達成感を得た。
NHKオンデマンドで72時間を観る。相当の取材の労力が感じられる傑作だ。大阪西成の24時間営業の食堂の話と、宮城の1円パチンコ店の話と立て続けに観た。とても人間がザラザラしていて良い作品だった。
子らが汗まみれで起きた。2人もいると、熱気のこもりかたが温室のようになる。
雨が上がっていたので散歩に行こうと子1に呼びかけると、寝起きのぼんやりとした表情のまま玄関へふらふらと移動した。そんなにしたかったのか散歩。
そして子1はまっさきにお義母さんの家に押しかけ、手作りのバナナケーキとカットしたスイカを動物園のゾウばりに食べた。
床はお菓子とスイカの汁で大変なことになっていた。
うわぁアリが来る、と子1の動きを静止しようとすると、お義母さんが「アリは食べこぼしを掃除してくれるから大丈夫」と言った。わたしも同じフレーズを使って、心を少し丸くせねばとおもった。
子1のおなかはかなり膨らんでいた。指でつつくと、空気をパンパンに入れたゴムボールのようだった。
すいかのブランド(?)シールかっこいいな。やっぱ大きくなるほど派手なんだろうか。集めたい。 pic.twitter.com/KRKTBWpinv
— 山本千尋@フリーライター佐世保在住 (@chirol1660) 2020年7月23日