子どもが生後100日で、お食い初めをした。
こんなメニューで、とかこの順番で食べさせてあげるとか、お椀はこの色だとか、なんか色々決まりごとがあるようだ。
しかしとにかく、前日は夜も遅くて眠かった。
なのでスーパーとコンビニでできあいのものと材料を買っていく。
一応「おめでたそうなもの」を選ぶ。
健康的な歯でいつまでも美味しく食事ができるように、の意味を込めて歯固めの石というものを準備しないといけないらしい。
家には夫がヨルダンに行ったときに死海から持ってきたものしかなかった。
色が淡いベージュで優しい。むしろこれは良いんじゃないか。
「ちゃんと洗ったから、たぶん塩は吹かないよ」と夫。
まて、そんな石聞いたことない。少なくとも日本では。
鯛の塩焼きは準備出来なかったけど、可愛い鯛の形をしたお皿があった。
色は赤だ。めでたい。
そのお皿の上には、なんとなく縁起が良さそうということで「黄金ままかり」を載せる。
ままかりとは、岡山の料理で、金色のししゃも卵とサッパ(ニシンの仲間)を甘酢漬けしたようなものらしい。
「ママからお金を借りるような子になるんだよ」と夫。
「残念ながら金がない」とわたしは即答する。
そしてお食い初め当日。
年長者の夫のお婆ちゃん(89歳)が一番元気な朝の時間に、ぱたぱたと準備をする。
久々に仕事のやすみの夫はふらふらと起き上がり、キッチンに立つ。
わたしはレンチンと子守担当だ。
わたしは料理ができない。というか要領が悪い。
おかげで飲食店を3回クビになっている。アルバイトで。
というわけで、元ハイパー忙しい居酒屋の店長だった夫が料理担当だ。
なぜなら早いからだ。あと20分足らずで全て作り揃えなければならない。
そしてこれがまた美味いのだ。そして盛り付けが綺麗なのだ。
もはや脳のつくりが違うとさえ感じる。
完成。お食い初め。子よ、100日おめでとう。
この光景を残したくて思わずカメラを構える。
ファインダー越しに、夫の祖母、母、夫という親子三代の姿が見える。
というか四代だ。親子四代ってなんやねん。なかなか見れんぞ。
それぞれ笑った顔の皺からは、同じ血の筋が見えた。
新旧のグラデーション。それは当たり前のことで奇跡的なことだ。
命が産まれることは喜ばしいことだけど、世代交代の淋しさも同時に湧いてくる。
言葉も話せなくなったわたしの祖母がか細い手で、まだ子が入ってたわたしのお腹をなでた。
今思えばあれは命のバトンを手渡すというやつで、「くっさいなぁ」と思うけど悲しいことにそれ以外の表現が思いつかない。
そしてさっき目にした親子四代のお食い初め風景は、あれも命のバトンを手渡していたに違いなかった。
年長者がすることの意味を肌で感じつつ、美味いままかりをペロリと平らげた。
手毬麩と紅白はんぺんのお吸い物(夫の手作り)、お赤飯(テーブルマークのやつ)、筑前煮(ファミマ)、梅干し(スーパー)、千枚漬け(スーパーあ)、ままかり(スーパー)。
めでたい、めでたい!あっぱれ!
料理はすべてスタッフが美味しくいただきました。
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— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年1月28日