ティモテは幻ガール
久しぶりに寝具関係の洗濯をした。
シーツをガバッとはずし、洗濯機にぶち込んでゴウンゴウン回す。
そのあいだベッドは寒そうだが良い風通しができている感じがした。
子に絵本を読んだ。
季節が夏の物語だったのでしまったと思った。
もともと対象年齢はガン無視していたが、季節感は肌で感じるものなので大事だとは思っていたのだ。
しかし読み進めてしまった以上は仕方がないので、「夏の予行演習的なやつですね」と伝えておいた。
お昼に、子の離乳食とミルク。
お腹いっぱいのはずなのに、ソファのうえで激しく転げ回る子。
中のものが出ないか心配だが大丈夫そうだ。
子の食事が終わったので、テレビを点けるとどの番組も新元号の話題で持ちきりだった。
「令和」
昭和の兄弟分のような響きだ。
口にしてみると意外とノンストレスで悪くない。
各地の新元号発表の瞬間から総理のよくわからない演説、同じ名前の人をインタビューした究極の素人いじりな企画まで、テレビの中はまるで年越し番組のような賑わいを見せていた。
鹿児島のテレビで、砂風呂に入ってるおばちゃんたちにインタビューし、「令和〜すてきね〜」とコメントをもらっている映像が何気に面白かった。
もはや砂風呂に入ってることが重要だったのかもしれなかったほどの絵面だった。
ツイッターでも賑わってますね、と頻出ワードランキングが表示されていたが、その2位に「令和18年」が入っていた。
ふれるかな、ふれるかなと思っていたらスルーだったので笑った。
「平成さん(平成という名のおじいちゃん)、いよいよ終わりますね!どう思いますか!?」という、極めて失礼でどうでもいいインタビューが始まったあたりでお腹が空いてきたので、自分の食事を用意するため台所に立つ。
夫が昨夜作ってくれたビシソワーズの残りを器に注ぎ、フランスパンを薄く切ってトースターで焼く。
短い時間だったが、いつのまにか子が移動していたようで、ガタッと音がしてそちらを見ると、ソファの淵に上半身だけで掴まっていた。
崖から落ちる人の第一段階みたいな感じだ。
あわててかけ寄り、抱き上げてソファの隅に寝かせる。
かなりヒヤッとしたが、子は泣くようすもなくケロッとしていた。
世のお母さんあるあるなのかもしれないが、頭の後ろに目が欲しいと思った。
選挙カーの演説が活発になってきた。
先日夫から、「選挙カーが走ることでわれわれが得られるメリット」の話を聞いてへぇぇーーと感心したので、もし子に聞かれたら良い感じで噛み砕いて伝えたいと思う。
立候補するだけでも何百万もの大金が飛ぶ日本の選挙制度は、たしかにギモンだ。
もっと有象無象な、貧乏人も金持ちも入り混じればいいのに。
キャベツが2玉もあったので、夫の晩御飯はどうしようかと考えた。
身体が大きいのでたくさん食べるし、わたしの技量で作れるものといえば…と考えたときに、お好み焼きが思いついた。
学生の頃バイトをしていた、夫婦経営のお好み焼き屋さん。
住宅も兼ねていたので、お店の裏にあった居間でコタツに入ってオーナーとゴルフ番組を見ながらまかない飯を食べるというのが恒例だったが、
ふだんの世間話のようなノリで「ごめんねぇ、明日からもう大丈夫だから」と言われたのは、心がジュクッとした数少ない経験だった。
しかしそこで得た「ソースとマヨネーズ、かつお節と青のりを誰よりも綺麗にかける」「皿にあらかじめソースを塗っておいて玄人ぶりを発揮する」「じゃがいもを細かく切ってチンして柔らかくする」スキルは今もこの身にしっかりと根付いているので、あの経験は決して無駄ではなかったと思う。
あと、お客さんに「お好み焼き美味しいね」と言われた時に「いや、わたしが作ったわけじゃないんですけどね」と返してしまったことから学ぶ、もっと根本的ななにかも。
ね、結果オーライだよね。いま生きてるし。
そして、オーナーが編み出したレシピの中から「しそ×もち×チーズ」という最強な組み合わせを体得したことも、人生の中では大きな経験だ。
そんなとってもポジティブな経験を活かして、夫に、飯をつくる!
これほど素敵なことはないのではないか。
意気揚々とキャベツの千切り作業に取り掛かり、途中でげんなりしつつなんとか焼き上げた。
完成したお好み焼きは、なぜかマスターのものではなく父がよく作ってくれていたものに姿形が似ていて思わず吹いてしまった。
ティモテシャンプー復活のCMを見てはわわ、となった。
ウルトラマンのソフビ人形集めに夢中になる前、一応わが家にはリカちゃん人形があった。
ティモテも候補に挙がっていたのだが、主にピンク色でガチャガチャ着飾っていたリカちゃんに対し、シンプルなたたずまいだったティモテは当時のわたしの心の琴線にふれることはなかったのだ。
しかしその後遊びに行った友達の家で見たティモテがとても美しく(単純に隣人の芝生状態だったのかもしれないが)、ほしいとねだったが、当然リカちゃんがいるので買い与えてもらえなかった。
あのリカちゃんかティモテをチョイスする段階で、もう少し大人になるべきだったわね、と謎の自己分析でとりあえず納得させた。
あの頃の憧れに今一度、と言いたいところだが、このボサボサの太毛では、一生かかってもティモテには近づけそうにない。
やはり彼女はわたしにとっては幻のようなガールなのだ。
家事に対する考え方を変えてみることにした。
できるだけ大変だと思わないようにして、自己評価をできるだけ低くし、面倒に感じたらいっそ放り投げるくらいの適当さでいこうと考えた。
もちろん子の世話以外だが。
家と家の行き来が多いので、動線を考えながら物の運搬やら片付けやらやってきたつもりだが、結局何往復もする羽目になり、自分でも笑いたくなるときがある。
もともと効率よく動くことは苦手な分野である。どうにもならないことなのだ。
とりあえず明日のゴミ捨ては面倒なのですっぽかして昼まで寝てやろうと思いつつすやすや寝た。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
4/1 トマトさん子がすっごく絵を見てた!好きなんやな、トマト。#読み聞かせ #絵本 #佐世保市立図書館
昨日食べたローストビーフ、今日も食べたい。 pic.twitter.com/Z3usTfo4q9
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年4月1日