平戸、結局あそんで帰る
母を子守に召集し、取材先で遊んでいてもらう予定だったのだが、あまりの子の奔放っぷりにやむなく断念した。
「今日は公園に行って遊んで帰ろう」ということになった。
場所は平戸。天気は超快晴。
「日本最西端ならひょっとしてマスク売ってるかも」と母が言うので、近くのホームセンターに立ち寄る。
わたしは子とともに車内でお留守番をし、母がパパッと見に行くことになったのだがやはり完売していたそうだ。
代わりに除菌シートやスプレーなどのウイルス対策コーナーがでかでかと設けてあったそうだ。
「ウイルス対策ソフトの売り出しみたいだったよ」と母は笑っていた。
平戸に来たら必ず行くのが熊屋菓子店だ。
お目当ては麩饅頭である。
みずみずしい生麩のもちもちとしたガワと、主張を抑えすっきりとした餡子が、わたし好みスイッチを連打する形となり、以来好物となった。
餡子嫌いのわたしでも食べられる饅頭として、川棚のかりんとう饅頭に次ぐヒットとなった。
母ともりもり食べながら、田平公園へ車を走らせる。
平日にもかかわらず、まぁまぁ親子連れがいた。
ここはわたしも幼少時代に家族とよく訪れた場所だった。
自分の子どもを連れてくること自体もそうだし、当時よく遊んだ遊具が残っていたことも感慨深い。
子はようやく、親の手に引かれるというわずらわしさから解放された喜びからか、暴走したおもちゃのように歩き狂った。
見るものすべてが新鮮なのだから仕方がない。
公園はかなり広く、子は砂場と芝生をメインに行き来しながらぐるぐると歩き回っていた。
そういえば、砂にさわらせるのは初めてだったかもしれない。
土俵にあがった力士が塩を撒くかのように、掴んだ砂をなんども宙に放り投げていた。
ざあ、ざあと音がする。子は無心で繰り返していた。
どうせなら展望台あたりまで行こうと歩いたが、かなりの距離だった。
公園最大の遊具であるロングスライダーのあるところまで行く。
▲海を望みながら高台を登る
▲ありがとう宝くじの売上
以前はローラーだったのだが、安全を考慮してか老朽化のせいか普通の滑り台のようなつくりに変わっていた。
そういえば、ローラーはスピードが出て楽しかったけども、普通にお尻を痛めたり手の指やら皮やらを巻き込んで怪我をしたという話も聞いていたので危なかったんだろうな。わたしは滑った後にお尻がかゆくなるところも含めてファンだったので、それがなくなって少しさびしくはあるのだが。
子を抱える形で、ゆるゆると滑った。
まぁまぁスピードも出てたし景色も最高だった。意外にも子はノーリアクションだった。
母は後ろからゆるい笑みを浮かべて後を追ってきた。
満足して帰った。良い息抜きだったと思う。
その晩、子は泥のように眠り、わたしも朝起きれなくなるほどには身体が疲れていた。もっとも、親子三代で楽しい時間を過ごせたので気持ちは晴れやかだった。
取材はまた改めて行かねばならない。麩饅頭もまた買えるのでラッキーだと思うことにした。