夫は、今朝出勤する直前、見送ろうと玄関前で立っているわたしに「友だちに安倍晋三の動画を送ったんだけどさ」と話したところで、時間がないと判断したのかそのまま車を走らせて行ってしまった。
起承転結の起転結がない話ほど、モヤモヤするものはないとおもった。
昼にやっと服に着替えた。
ゴミ捨てと洗濯を終わらせて、午前中の動きに満足し二度寝を決め込んでしまったのだ。
ーこの根性なし。思わず自分に毒づく。
「あなたは根性が足らないね」
以前、姉妹3人と母の4人で某忍者村に遊びに行ったとき、手相をみてもらった占い師からそう言われたことがある。
散策中、手相占いと書かれた看板を見つけ、閉め切ってあったにもかかわらずガラガラと扉をあけて入っていった。
女子旅のテンションとは恐ろしいものである。
「すみませーん」と声を掛けても応答がないので、外出中なのかなと建物から出ようとすると、なかから中国風の衣装に身を包んだ初老の男性が現れた。
なぜ忍者村でチャイナ、という疑問はさておき、せっかくみてもらえるならと嬉々として並んだ。
長女だからという理由で、トップバッターはわたしになった。
四柱推命の図みたいなものが貼り付けられた横長いテーブルを挟み、占い師と向かい合わせになる。
ここでものすごくチャーハンのニオイがした。
ひょっとしてこの人、お昼ご飯中だったのか。せめて歯を磨いてくれよ。
テーブルにはちょうど手ぐらいのサイズでグリーンの布が敷かれている。ここに手を置くのだろう。
わたしは手を布の上に置いた。
「はい、じゃあ見てみるね」
と同時に、占い師の口からチャーハンの米が2粒飛び出してきた。
1粒はわたしの手に添えられた彼の手の甲親指あたり、もう1粒はやや浮いたわたしの手の真下あたりに着地した。
たっ、頼む、わたしの手に落ちないで、落ちないでェェ…!!
と米粒に懇願するのに必死で、内容がほとんど頭に入ってこない。
米粒の存在に気付く気配がない占い師。むしろ無視する方向なのか。そうなのか。
などと考えていたら、今度はわたしの手をマットに置こうとする。
やめろ、そんなことをしたら手の真下にある米粒2号が、2号が…!
クッと力を込め、マットから数ミリ手を浮かせることで回避した。
そこでようやくはじめて聞き取れたのが、「〜ということなんだけれども、なんせあなたは根性が足りないね」という一言だった。
「子よ、おはよう!さーて、今日はなにしようか!?」と、さも起きたばかりの子をリードする母親のような設定で話しかける。
しかし子の表情から察するに、おそらく数時間前の授乳を終えてからずっと起きていたようだった。
「孫ちゃん〜!元気じゃったか!」
お義母さんがハイトーンボイスで子に話しかける。
口元が笑っている子。うれしそうだ。
昨日インスタに投稿した子の写真の話題になる。
「このオレンジと黄色のストールを巻いた孫ちゃんの写真、ほんとミャンマーかどっかの僧侶みたいだったよね!」
そういやわたしチベットの僧って書いたなぁと思いつつ「ダライ・ラマってチベット仏教でしたっけ」とお義母さんに尋ねた。
お義母さんは、子の両手を優しくにぎりながら「お前は次のダライ・ラマじゃー!あっ、まだ先代死んでないわ!というわけでまだじゃー!チベット仏教もいろいろあってねー、たぶんもう終わりじゃー!」と、あやしていた。
子は相変わらず笑っていた。
アニメを観て、おやつにチョコミントアイスを食べて、パソコンに向かう。
記事を途中まで書いたところで子がぐずる。
オノマトペ辞書という、ブックオフで数百円で購入したわりと分厚い本があったので読み聞かせをした。
「ぼかん。意味は、ものが激しく爆発するようす。例文、理科の先生が今日も理科室でぼかんと爆発」
不条理だなぁと思いながらノリノリで読んでいると、やがて子は大人しくなった。すやすや。
夜は夫とお義母さんと3人で、録画していたファミリーヒストリーの伊東四朗の回を観た。
途中、子の入浴で席を立ったが、夫にこれは観とけととあるシーンをリプレイしてくれた。
70年来の友人と伊東四朗がかつて練習したハーモニカを別々の場所で吹いて音だけ聴くとハモってるというシーンで、無条件に泣けた。
これでファミリーヒストリーの伊東四朗の回を観たと胸を張って言える。みんなに自慢しよう。
しかし、それを翌日まで覚えている根性はないことは、自分がよくわかっていた。
ちなみに、夫が友人に送った安倍晋三の動画は、どのシーンでもコピペ的な挨拶をかますというものだった。
きっとサイボーグかエイリアンなんだよ。きっと。
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【日常あれこれ】
すごいwどれも面白いのでみなさん読んでみてくださいね〜!#佐世保 #sasebo #させぼ通信#佐世保あるある #させぼあるある #あるあるネタ #記事
足に人格を与え「コンニチハ!ワタシはママの足です!」と話しかけ娘の気をテレビからそらせる作戦。
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年2月1日