青さびた瓦、というキーアイテムっぽい響き
朝起きると、子の足の裏がぴっちょりしていた。
ちょっと厚着させてしまったようだ。
「あしのうら☆もいすちゃあ」という名の地下アイドルという設定で、歌をうたって遊んだ。
半年前ほどにメルカリで出品したまま反応がなかった漫画「翔んで埼玉」がピュンッと売れた。
明らかに映画の影響だろう。
つけた値段も忘れかけていたが、とりあえず売れたことは喜ばしいことなのでゴソゴソと梱包する。
緩衝材で本を包む。
仕上げにと、ワックス加工が施された包装紙を取り出した。
先日叔父からもらった、子の初節句祝いを包んであった包装紙をなんとなく取っておいたものだ。
思いがけず役に立って嬉しい。
雑貨屋で働いていたときによくやっていたラッピングの要領で本を包むことにした。
ボックス包みとかいう名前だった気がする。
紙は丈夫で、古いカッターの刃を通してくれなかったので余分な箇所ははさみでザクザクと切った。
本当は緩衝材無しでキッチリ包装できると気持ちが良いのだが、配送用なので仕方がない。
ややこんもり厚みがついてしまったものの、おそらく一番紙がかさばらず強度が高い状態で梱包することができた。
その本を送るべく、お義母さんの車を借りて子とファミマへ向かう。
5分で着くファミマもあるのだが、なんせ駐車場が狭い。
15分はかかってしまうが、駐車場が広々としていてイートインもあるファミマを選んだ。
そこはお義母さんもお気に入りで、さきほども買い物で立ち寄ったという。
ということは、短い時間に同じ車が二回訪れることになる。
気づいた店員さんは、アレ?と思うだろう。
とりあえずそんな店員さんはいないよな、ということで広い駐車場にスコーンと車を止め、目当てのメルカリ便を終わらせる。
お腹が空いてついおにぎりを買ってしまい、車内でモグモグ食べる。
綺麗なイートインがあるのに、と思うが、まだ子連れだと遠慮してしまうし、車内が落ち着くのだ。
このファミマは結構な高台にあり、周囲は山道を開いて道を作った様な環境だ。
裏手には木がワッサァと生い茂り、おそらくここの道が整備される前から住んでいたであろう人たちの家々がぽつ、ぽつと点在している。
特にファミマのすぐ隣の家は強烈だった。
人が住んでいるのかもわからない、しかし空き家にしてはまだ生気がある、なんとも三途の河に建っていそうな雰囲気なのだ。
古くて大きい間取りの一軒家。
木枠の窓から見えるボロボロのカーテンと青さびた瓦がチャームポイントだ。
青さびた瓦、と書くと、ホラーゲームのキーアイテムのようにも聞こえる。
とにかくこの異質な民家と真新しいファミマのガチャガチャな雰囲気がおもしろいと、お義母さんと笑ったことがある。
以前イートインで子とお義母さんと3人でお茶したとき、「この店全部がたぬきが化かしてつくったものだったらおもしろいよね」と話していた。
「店長はきつねかもですね」
とってもファンタジーなファミマなのだ。
晩ご飯にポトフを作った。
塩気のあるウインナーがずっと残っていたので、全部投入したらウインナーの煮込みみたいになってしまった。
夫に、「きみの伸びっぱなしでボウボウの髪については、おれはもう何も言わないよ」と言われたので、明日美容院を予約しようと心に決めた。
子が自分に笑ってくれないと、夫がしょんぼりしていた。
単純に、一緒にいた時間がそのまま比例してしまう時期なのだろう。
インフルエンザでわたしが離れていた5日間でさえ、再会したときにはプイッとされてしまいショックを隠しきれなかったというのに。
しかし仕事で大変なため、子と時間が取れないというのはなんとも複雑なことである。
父親だれもが遭遇するモヤモヤかもしれない。
せっかくの休みの日に申し訳ないことだが、めいっぱい子と遊んでもらおうと思った。
子と風呂に入って、先に夫に子を渡して着替えをお願いすると、冷凍庫からチョコミントアイスを持ってきて「もうちょいゆっくり浸かっとき」と言われた。
もうほんとにほんとに愛してる、と思った。
子のやりとりで扉を開け放ったままだったが、気にせず湯船でうまうま言いながら食べていたら出掛けようとしていたお義母さんに見られてしまった。
ほんとうにふつつかな嫁ですみませんである。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
佐世保弁ぬけた
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年2月27日