お目当てでなくても敬称は忘れない
朝から、Twitterでアサリが砂抜きののち味噌汁にされる動画を観た。
アサリに愛着が湧いたとともに食欲も刺激されたのだが、この世の中に、スイーツ以外で、可愛くて美味しい食べ物がどれだけ存在するのだろうか。
さかなクンもよく、「この子たち可愛いし美味しいんです」的なことをよく言っている。
魚介類はそうなりがちなんだろうか。
夜勤明けの妹1とランチに行った。
といっても、向こうは健康診断が入ってしまい、合流できたのはとうに14時過ぎだった。
両目を赤くしていたので何事かと心配したが、ただの寝不足だという。
疲れて眠い身体にムチ打たせるような真似をしてすまないと思いつつ、うどん屋ののれんをくぐった。
昼ごはんのピークを過ぎているということもあり、客足はまばらだった。
それでも店員のおばちゃんの威勢の良い声が響いている。
50人は座れるんじゃないかと思うほど広いお座敷にどやどやと腰掛けた。
それぞれうどんをオーダーし、妹1と談笑しながら待つ。
彼女は介護職に勤めているのだが、なかなかに苦労しているようだ。
話を聞いていていつも、もっと待遇が良くなればいいのになと思う。
福祉を仕事にしているひとたち(上の人は除く)、命にかかわるハイプレッシャーな内容にしては扱いがぞんざいすぎはしないだろうか。
健康診断が利用者とスタッフ同じスケジュールだったらしく、心電図とか時間かかりまくりで…と眠そうな顔でボヤく妹1。
仲のいい友人に職場のことを話したところ、「そこ、ウチのお母さんが“姥捨山”って言ってたところだ!」と悪意ゼロでコメントが返ってきたらしい。
よくわかんなかったから、へぇーって言っといたと妹1が言うので姥捨山の意味を教えてあげるとブフォフォと笑った。
つらつらと話しているうちにうどんが来た。
妹1は味噌うどんをオーダーしていたのだが、素うどんに味噌玉が豪快に載っているスタイルで意表を突かれた。
てっきり味噌煮込みうどん的なものをお互いに想像していたので、うおぉと笑った。
わたしはこの店の名物“食べても減らない軟麺”うどんをオーダー。
友人のおすすめトッピング、わかめとコロッケで挑んだ。
うどんだしを吸ったわかめは美味い。
わかめだけで丼一杯イケる勢いだ。
コロッケは箸を入れるとサクッと音がして、「ほんとうにわたしをうどんに入れるのですか」と訴えかけてくる。
ので、その友人からは怒られそうだが、半分はサクサクのままいただいて、もう半分だけをうどんに投入することにした。
めちゃくちゃ美味かった。
麺はやはり食べても食べても減らなかったし途中でお湯の味がしたので、だし汁を追加して飲むように平らげた。
最後は歯ごたえがほしくてかしわ飯をオーダーした。
わたしたちの胃袋は炭水化物でパンパンに埋め尽くされた。
オタクで腐女子な妹1と最近よく話すのは、もっぱら大人気作品「ヒプノシスマイク」のことだ。
先日、謎の原因でダブった同人誌をわたしにプレゼントしてくれた彼女だが、その情熱は衰えることはなく、アニメイトのガチャガチャでお目当てのブツが出なかった時の話をしてくれた。
どんな好みのユーザーにも対応できるようにするためなのか、ここ数年のアニメやゲームのキャラクターは個性がチロルチョコのバラエティーパック以上に豊富だ。
1作品10人はいると思う。
下の毛はどうなっているんだ?と思わず心配になるほどの髪の色だったり、性格もかなり細かくタイプ分けされていて、作り手側のマーケティング能力は凄いなと感じる。
そんなキャラクター戦国時代において、お目当てのブツを手に入れるということは至難の技だ。
レンジャーものなら確率は5分の1となるところが、何10分の1という、課金スマホゲームほどの絶望感はないが結構気の遠くなる話である。
以前どこかのアニメイトのガチャガチャの前で「くっそぉぉー、また新開センパイかよぉぉー!」と叫んでいる女子を見かけたことがある。
ダブりまくって怒りを抑えられないのだろうが、物語中で彼が呼ばれているセンパイという敬称はファンの中でも絶対なのだ。
同じようなもので「さん」付けも見受けられる。
そんなこんなでお目当てのブツが出なかった妹1は、その手に抱えた“お目当てでないブツ”が欲しくてしょうがない見知らぬ人から、現金でトレードを申し込まれたというハートフルなお話である。
わたしもそうだが、オタクのそういった、外見や立場や年齢を無視して「わたしこれが好き、知ってる」だけで話ができてしまうスキルは凄いと思う。
同族意識というか、そこに警戒心やプライドは存在しないのだ。
相手に対してというか、全神経が作品に集中しているからこそできる芸当である。
妹1に、五番街のヴィレバンのヒプマイコーナーが充実していたということを告げるとカッと目を見開いて喜んでいた。
店を出ると、空は明るいのに雨が降ってきた。
この日はなんだか局地的な雨で、車で30分の移動中にも雨の降りかたにムラがあった。
こういうのって狐の嫁入りっていうんだっけと考えた。
夜勤明けの妹1を労って、現地解散を提案しそのまま別れた。
妹1の住まいはここから近く、わたしが帰る方向とは真逆である。
が、運転中バックミラーを見ると妹1の車がぴったりとわたしの後を追っていた。
違った。彼女は五番街へ行くつもりなのだ。
そして案の定、五番街のヴィレバンへ駆け込んだ彼女は、「お目当てのつがいがいなかった」と品揃えのなさをLINEで嘆いていた。
夜は夫の友人宅へ、生後2ヶ月になるベイビー(わが子の許婚という設定である)に会いにいった。
ゲスト続きで奥さん大変だろうなと思いつつ、ベイビーにずっと目尻が下がりっぱなしだった。
ソファにわが子とベイビーと座らせ、ニヤニヤとスマホを構える大人たち。
夫の友人が作ってくれたブリ大根は絶品で、しかもそれを十六茶と白米といただくという、従来の酒飲みスタイルから存分にかけ離れた家庭的スタイルに笑いがこみ上げてきた。
「子どもの存在は偉大だ、この子らが居ない生活なんて考えられない」みたいなことを話していた気がする。
2025年あたりの大阪万博に向けての家族旅行の話も持ち上がってきた。
家族旅行って。
あのでっかい車乗るんすか。
エブリバデー・ミニバンすか。
夜遅くまで煙とアルコールにまみれていたわれわれは一体どこへ。
完全に毒気を抜かれ、骨抜きにされてしまったのである。
ずっとみんなで「なんだこれは、なんだこの◯◯な空間は」と言い合った。
◯◯の部分はかわいい、か、尊い、しかなかった気がする。
思考力・語彙力クラッシャーズである。
あともうしばらく、この赤子ハイは続きそうだ。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
YO-TAROとAM.a.NEってなもんな雰囲気でしてこりゃいやはや。彼はかなりの(わたし好みの)イケメンになる。#baby
結局柔麺のコロッケわかめになりました。美味しかったです。スープ注ぎ足しつつ完食しました。美味い。
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年3月7日
夫がこないだ聴いててすてきと思って以来ずぶずぶ聴いている https://t.co/F2238axtmG
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年3月7日