子はまだ寝返りをうっていない。
成長スピードが遅いかもとか、特に不安にはならないし、いつかは歩くだろうとマイペースに構えてはいる。
今日も子がジタバタと身体をひねって頑張っていた。
「補助なら任せろ!」と近寄り、おしりに手を添えて少し力を加えると、子はころんとうつ伏せになった。
ここでいつもなら顔を突っ伏してうーうー唸り、少し経つと半ベソをかきだすところである。
ところが子は、ぐいっと背筋を使って顔をあげ、ハイハイのストップモーション的なポージングをとった。
しかも声を出してケタケタ笑っている。
わたしは感動のあまり、思わず「おお!」と声をあげてしまった。
成長の瞬間をおさめようと、スマホで動画を撮り、早速家族とシェアした。
それにしても、赤子の筋力と体力はすごい。
背筋で上体を起こした状態でケタケタ笑うなんて、33歳のわたしには少々キツイ運動だ。
さらに仰向けになって脚を浮かせた状態でジタバタする動きなんて、新種の筋トレじゃないか。
彼らの動きを取り入れた「幼児退行エクササイズ」なんてものを作れば、意外とウケるかもしれない。
DVD3部作で、一本3500円(税別)だ。
赤ちゃんパワーの恩恵にあずかれる大人用スタイと、肺活量アップとフェイスエクササイズ効果も期待できるおしゃぶり付きだ。
2部からは、5kgのガラガラ(かわいいパステル5色展開、1本1080円)の購入が必要になる。
「子どもの頃のピュアな心になることで、豊かな人生が送れます」なんてスピリチュアルな要素も加えることができる。
案外いけるかもしれないぞ。
そのあとYouTubeでBGMを流しながら作業をして、フジファブリックの「銀河」にあわせて子と歌って踊った。
陽気なひとときだった。
街中で酒を飲みながらそんなことをしたい。
昨日の暴飲暴食で、胃袋が少し重たくなっていた。
何も食べないというのも落ち着かないので、お義母さん宅にお邪魔して少しありものをつまませてもらうことにした。
ベースで買ったブラウンライスの炊いたやつがあるよ、ということだったので、野菜スープとあわせて雑炊のようにして食べた。
ブラウンライスは、箱に入っている段階では普通の茶色い米粒だ。
お義母さん曰く、「箱に直に入っててびっくりした」という。
さすがダイナミック。アメリカ。
乾燥しているので虫食いなどの心配はないということなのかもしれないが、白米は放置しすぎると虫がたかるのでとても考えられない。
調理方法は炊飯器ではなく、水を加えてレンジにかけるだけというとてもお手軽なものだ。
食感は、麦飯がもっと細くなって硬くなったようなもの。
とても軽くて、シリアル感覚に食べられる。
具沢山の野菜スープの柔らかい具材と一緒にハフハフいただいた。
胃が優しいものでいっぱいになった。
気持ちも優しくなったけど、歳を感じてムムムとなった。
夫が出勤途中で帰宅して、スーツに着替えて出掛けていった。
夫は普段も素晴らしいのだが、スーツ姿の夫は、とても素晴らしい。
空から飛んできた痴女に押し倒されたり、地面から生えてきた屈強なゲイに誘拐されないかと心配になるほど、良い。
スーツ姿、ごちそうさまです。
ふたたび職場へ赴く夫の背中に呟いた。
それからキョトンとしている子に、夫のスーツ姿の魅力について素のテンションで語った。
金スマで、サンドウィッチマンがスペインでお笑いライブをやる企画が放送されていた。
彼らの大ファンだというスペイン人の青年が登場していた。
創立800年の歴史を持つ名門大学に入学し、日本のお笑いが好きすぎるあまり日本語を学び、独自にお笑いを研究。
卒業論文には、その情熱をたっぷりと注いだという。
大学時代を振り返り、やはり論文はそうあるべきだよなぁと思った。
適当なコピペを繰り返し、無意味な論文を作っていた当時の自分にスペイン人の彼を見せてあげたい。
寝ているとき、猫ががっつり爪を立ててわたしの手を引っかいた。
いてぇ、と払いのけ、布団に丸まった。
猫が近寄る隙間を完全になくすことで、わたしは怒っているよという意思を伝えた。
猫はしばらく所在なさげにウロウロして、足元に丸まって寝ていた。
変な姿勢のままふたたび眠りに落ちたわたしは、お寺の地下でウロウロ迷いまくって友人との待ち合わせに遅れてしまうという夢を見る羽目になってしまった。
ヤンシュヴァンクマイエルの世界のようだった。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
フジファブリックで子と歌って踊る
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年3月8日