ヤマモトチヒロのブログ

佐世保在住フリーライターです。育児日記に混じって、地元佐世保の歴史や文化、老舗や人物について取材撮影執筆した記事を掲載しています。

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ピンクとグレーのマーブル模様のようなきもち

数年前から恒例となった喉の不調のせいで、ここ数日間はゾンビのようになっていた。

仕事から帰宅した夫から「体調不良っぷりがすごい」と言われたほど、病人オーラがムンムンだった。

喉が内側から、鉄の輪っかにガッチリと圧迫されているかのような鈍い痛みがあり、食欲に反して身体が固形物を拒否してしまう。

それに連動して鼻水、咳といった症状が出るのだが、驚くべきことにこれは風邪ではないそうだ。

当時初めて診てもらった医師から「菌がおたくの喉奥に住んでます。たびたび出てきて暴れます。殲滅はできません。風邪ではないので基本は人に感染しませんが、粘膜をねるねるねるねする場合はその限りではありません」といった趣旨のことを言われた。

世の理不尽さに両膝をついて崩れ落ちそうになったものである。

なぜそんな自分勝手なやつらと付き合っていかなければいけないのか。

これまで人間関係では、ひたすらそのことだけを考えてひっそりと暮らしてきたつもりなのに。

いや、わたし自身がとんでもなく自分勝手な人間なので、むしろこれは罰だったのか。

神が与えたもうた試練なのか。

なんてことをヒロイックに考えて鬱々と不貞寝していたこともあったが、それは独身時代の話。

今は子の世話をする身分ゆえ、つとめて前向きに、ポジティブにこれと向き合わなければならない。

 

なんとなく家の中で飛沫を飛び散らせるのも嫌だったので、マスクを装着した。

これだと気休め程度に喉の痛みも和らぐかもしれない。

試しに、先日北海道物産展で購入したハッカ油をマスクに綿棒でちょんちょんと塗布してみた。

あまりの爽快感に、霞を食らうかのごとく口をパクパクした。

 

子がわたしのほうを見た。

子どもは親の顔が全部見えなくても笑ってくれるのだろうか。

声を出したくなかったので、目と動きでポージングをした。

ちょうどハッカ油にヒイヒイなっていたので、自作ヒーロー・北見戦士ハッカマンのイメージを加えた。

笑ってくれた。

そうか、目から下が見えなくてもオッケーなんだ。

そこからは、出来るだけ言葉を発さずにジェスチャーとへんてこポージングで子とのコミュニケーションに励む日々だった。

喉が痛いだけだったので、ビートたけしのコマネチをしようが、劇団四季のキャッツやライオンキングをしようが問題はなかったのである。

問題があるとすれば、体力が尽きてしまったことだ。

わたしはどれだけ声に助けられていたのか、身をもって痛感することとなった。

そんなわたしの体力などおかまいなしに、子はキラキラとした笑顔でこちらに向かってくる。

ああかわいい。どうにかしてきみを笑わせたい。

そこで、幼い頃によくやっていた、キツネの手遊びをやってみることにした。

人差し指と小指を耳に見立てピンと伸ばし、中指と薬指で上あご、親指で下あごを表現するアレである。

完全にサイレントであるが、超高速に動かすことで見事に笑いを取ることができた。

手首だけならいくらでも動かせる。

いや、腱鞘炎の前例があるから無理だごめん嘘だ。

しかし、動きだけで子どもの笑顔を引き出せるワタシ。

謎の自信がムクムクと湧き上がる。

病人なのにキモチイイぞ。

ピンクとグレーのマーブル模様のような気持ちだ。

その後も、部屋にあるパペットやぬいぐるみを駆使して子を寝かしつけることに成功した。

子の寝息が聞こえてきたところで、中途半端になっていた家事をマッハで片付け、自身も横になる。

どれだけ自分を甘やかしても罪悪感が一切起きないシチュエーションだ。

そしてわたしはニンテンドースイッチを取り出し、ホクホクとFF9に興じるのであった。

そんな生活を3日ほど続けていた。

虚無感はあとからやってきた。

 

 

 

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