ヴェニスの季節はヴェニスだよ
夫の友人がドラマーで所属しているバンド「ミッドナイトトーキョー」のリーダー・極楽氏の著書「起きてるうちに連絡をくれよ」を読んだ。
極楽氏がどんな生い立ちで、バンド結成までの道のりが描かれたエッセイだ。
わたしは音楽のことはさっぱりわからないが、著者である極楽氏と、まるでカウンターで酒を飲みながら語り交わしているかのような気持ちになった。
けっこう深酒な状態で、タバコの煙で視界が曇って息が詰まりそうな店で。
カウンター奥の小さなモニターには、名前も知らない洋楽のバンドががむしゃらにギターをかき鳴らしている映像がループしてたりして。
それだけに読み手との間に隔たりを感じないラフな文章で、親しみが持てるのである。
大それた言葉は出てこないが、「凄いっすね。マジで応援してるから頑張ってください」だ。
根本的ではあるが、こうしてCDや本として形に残すことへの心からのリスペクトである。
親や自分、世間への反発から生まれるエネルギーはネガティヴさも内包されているためよりギラギラとしていて魅力的だ。
多少身体にまとわりつくようなネバネバ感や淀みがあるほうがちょうどいい。
わたしはどちらかというと、誰かのために作られたメッセージソングより、歌い手が自分のために作った俺様ソングのほうが聴いていて好きだ。
そっちの方が、作品として重みを感じるのだ。
音楽そのものにもだし、福岡の音楽シーンにもまったく疎いが、
雑多とした街の雰囲気、汚い電柱に破れかけた風俗のチラシ、道端のゲロと酒瓶、歯の抜けたオヤジ(ロックのつくだに共)、黒の革ジャケ、若さの衝動、バンドと女へ向けられたむせ返るような愛。
とにかくそんないろいろが思い起こされる一冊であった。
たぶん、内観と外観の描写の比率がちょうどいいのだろう。
この比率が狂うと、淡々としてつまらなくなったり、逆に著者の感情に置いてけぼりを食らうということになりがちだが、それがないのはすごいと思った。
あと面白かったのは、夫の友人が10代の頃ギャル男だったという事実。
“硬質なハードコアパンクと能楽を絶妙に融合させたレゲエサウンドで大きな人気を誇っていた”バンド「スピード農業」の音楽も気になる。
極楽氏が中華料理店でアルバイトをしていた話「GREEN MIND」は、強烈な香味野菜が匂い立つ描写が個人的にお気に入りだ。
また、本書の中に、戸川純の「玉姫様」のジャケットヴィジュアルを見た(正確には夫が見つけてくれた)ときにはわぁ素敵、となった。
ところで、「蝿の王“ベルゼヴヴ”」のMVに登場する双子の姉妹が可愛くてしょうがない。
極楽氏の上と下に配置してほしい。
とても面白かったので、機会があればぜひ読んで聴いていただきたい。
レタスが1玉98円で安かったので買ったがまだ使っていなかった。
サラダ以外で大量に使うにはと考えた結果、レタスチャーハンを作ることにした。
レシピを見て、レタスは一番最後に投入するということがわかった。
なるほど、わたしがこれまで作ったレタスチャーハンのレタスがほぼほぼ消えてただのチャーハンになっていたのはなるほどそういうことか。
万能中華調味料シャンタンと、お歳暮ギフトでもらったハム(賞味期限1月)のおかげでなんとかうまくいった。
コンディショナーが切れていたので、子と買い物ついでにドライブに行った。
陽も暖かく天気がいいから最高に快適だろうと思いきや、空はやや黄味がかっており目がしぱしぱした。
PM2.5的なやつだろうか。
一応、子のことも考えて屋外での移動はスピーディに行った。
欲しかった食材も一緒に購入し、車に乗り込んだ。
ベビーカーの設置と収納スピードが徐々にあがってきている。
とてもいいことだ。
帰り道、三ヵ町のヴェニスにベビーカーで立ち寄った。
片田舎の高級ブティックで、ゴツゴツのシャンデリアやバロック様式のインテリアに彩られた“宮殿”である。
店舗の縮小はあったものの、その輝きは40年以上経った今も変わることはない。
表の看板には、「2019春夏物新商品入荷」という文字と、若い従業員さんが頑張って作ったのだろう「Facebookはじめました」のアイコンが仲良く並んでいた。
季節感を出すためか、桜の造花がくっつけてあるが、そんなものはいらないと感じる。
店内は、昼下がりのマダムたちで賑わっていた。
その合間を縫って、女社長さんに声を掛ける。
しばらく世間話に興じた。
接客が忙しそうだったのでそそくさと帰ってしまったが、入口にあるお菓子コーナーで何か買っていけばよかったなと後悔した。
夜、お義母さんとヴェニスの話で盛り上がった。
ゆくゆくは店内見学ツアー、仮面舞踏会なんてできればいいのにねと夢のような話で胸をワクワクさせた。
そんなヴェニスの豪華なイメージともピッタリであろう、わたしが敬愛するFさんから子宛に小包が届いていた。
リボンがかかっていたので、端っこを子に握らせするすると開封した。
中から出てきたのは、イルカの人形がくっついる仕掛け絵本だった。
ぷっくりとしたボディを指で押すとキュッ!と鳴く。
「よかったねぇー!」と、子とはしゃぐ。
とりあえずリボンを子のあたまに巻き、ちょうちょ結びをしてから絵本と一緒に記念撮影をした。
日に日に子を笑わせるスキルが上がってきている気がする。
夫からは、なぜ(そんな良い笑顔の写真を)スマホ画質で撮るんだ(もったいない)と言われるのだが、笑わせるのに必死でカメラの準備をする余裕がないのである。
それにしても読み聞かせは、親である自分がとても楽しい。
Fさんからオススメ絵本の情報もいただけたので、どしどし開拓していこうと思う。
この日は、録画したNHKの番組「落語ディーパー」を夫と酒を飲みながら見るんだと朝から決めていた。
ので、買ってきた金麦を出し、晩御飯をつまみながら鑑賞した。
片手で子にミルク、片手でビールというなんともひどい絵面だったが、子の機嫌も良かったのでゆっくりと過ごすことができた。
酔った頭のままで、夫と記事のアイディアを出しあった。
佐世保はまだまだおもしろい。
あんなにたくさん食べたのに、もうお腹が空いていることにびっくりしながら寝た。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
朝からわが子がよく喋る
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年3月4日