知り合いの住職に「もしもし、いま、寺?」と言うシチュエーションに憧れる
朝。
お腹が空いたのでお義母さんの家へお邪魔すると、夫がステーキと焼きサバと鶏肉とトムヤンクンスープをつくってくれていた。
録画していた、マタギのドキュメンタリー番組「熊を崇め、熊を撃つ」を観ながらモリモリ食べていると、なんだか厳かな気持ちになってきた。
美味い、夫の手料理はボリュームがあって美味い。
そんな、食らう朝。
さすがに、食い過ぎである。
わが子も産まれてから今月で半年を迎える。
だからというわけではないが、この日は動物園へ連れて行こうということになった。
子、森きららデビューである。
ちょうど、産まれたばかりのキリンの子どももお目にかかれるということで、家族揃って14時すぎに出発する。
なんだかんだのんびりした挙句、出発直前に子が放出しお着替え沙汰になってしまったので、こんな時間になってしまった。
森きららに到着すると、日曜日とあって家族連れでわいわいと賑わっていた。
妊娠中に、パラミツを試食しようぜと訪れて以来、久しぶりの来園だ。
ウン10年を経てやっとデカイ実をつけるとかいう木で、大人の頭の2倍はあるような大きな果実を来園者にふるまうというイベントだった。
果実の見た目はドリアンのようなトゲトゲがあって、包丁で割ると白い粘液がネバダァと垂れてきて職員のお姉さんの頭にかかった。
思わずフハハ、とニヤついて夫を見たら、夫は「そうだよね」と頷いていた。
一応、「妊娠中のかたは、止めはしないけど自己責任で」という注意書きがあったが、構わず食べた。
ドライフルーツが、肉感とむせ返るようなトロピカル臭がしたのを覚えている。
そんな半年ほど前の思い出の場所に、今度は子連れでやってきた。
「あなたの血肉には、パラミツも含まれているのよ」とそっと囁きたくなるようなハートウォーミングな気持ちだ。
入口で受付を済ませて園内に入る。
佐世保市民は身分証があれば大人は620円で入園可能だ。
市民で良かったと思える瞬間である。
キリン舎に行くと、ゆうゆうと長い首を伸ばした2頭のキリンたちが食事の真っ最中だった。
すぐ隣の檻には、小さなキリンの子どもがおずおずと行ったり来たりを繰り返している。
わたしたちが観に行ったときはタイミングよくご尊顔を拝むことができた。
産まれながらにして180cmの70kg台はすごい。
そもそも人間の出産の基準で考えることがおかしいのだが、やはりありえないスケールである。
どんな姿で産まれてきたんだろう、もちろん両足は折り畳まれた状態でズベシャアってな具合だろうか。
臨月のお腹はどれだけ大きかったのだろう。
70kgをぶらさげるって、かーっ、すごい。
いつまでも人間換算で考えることから頭が切り替わらないので、話もそこそこに、しばらくかわいい子キリンを眺めていた。
次に向かったのはペンギン館だ。
動物園だが、ペンギンが泳ぐ姿を上から下までじっくり見ることができる水槽つきの建物がある。
ここだけが水族館のような雰囲気でとても面白い。
子はもちろん、わたしもここを訪れるのは初めてだった。
最初に行きそびれるとこんなもんである。
ペンギンが空を飛んでいた。
夫が上着を脱ぐと、森きららのTシャツが現れた。
園内ショップで購入した、意外にもイケてるアイテムである。
子を抱きかかえて水槽に近づけたり、あれよこれよと指をさして教えていると、本当に絵に描いたような家族モデルというか、九十九島のPR動画に登場しそうな雰囲気がした。
ちょうど、動物たちのしっぽにフォーカスを当てた展示イベントが開催中だった。
オオミユビトビネズミ
ゾウの尻尾の先端部分の標本が展示されていたが、ビニール紐のような強靭さで驚いた。
ホームセンターにある園芸コーナーで、巻きで販売されている防鳥ネットみたいな素材のやつだなとおもった。
お義母さんが「フェネック」を見たいというので展示場へ。
かわいいいきものだ。
若干西日が当たる園内を、ベビーカーを押しながらつらつら歩く。
ひととおり見回って、また最後にキリン舎に寄って、帰りに新しく開店したというお店でジェラートを食べて帰った。
せっかく外に出たから、ということで、梅田町のTSUTAYAまでドライブすることに。
途中、時計の電池交換がべらぼうに安いメガネ屋に行ってあれこれと試着してまわった。
夫は途中からメガネ屋のおじさんたちの会話に入っていた。
そして、知り合いの住職と電話で「いま寺?」と会話していた。
そんなフレーズあるのか。いま家?的なノリで。
子は、わりとお腹が空いているはずの時間帯だったが意外にも機嫌が良く、わたしがメガネを試着するたびにケタケタ笑っていた。
いっそ子が笑ってくれるやつに決めちゃおうかとおもったが、どれも笑うので選択に困った。
あげく、なにも買わずに出てTSUTAYAへ行った。
DVDを数本借りて帰った。
寺島しのぶ主演の「キャタピラー」を勢いで借りたが、観るシチュエーションがかなり絞られちゃうなぁとおもった。
晩御飯は、トムヤンクンスープを夫がなんやかんやまろやかにしてリゾットにして食べた。
辛いものが苦手なお義母さんでもややイケるお味だ。
そんなかっこいい食材の化かし方にちょっと時間を割きたいな、と思うだけ思っといた。
安藤サクラのスレた人間臭さとリリーフランキーのダメな男が放つフェロモンに脱帽しつつ、子役の熱演の輝きにドキドキした。
血の繋がりだけが家族ではないというメッセージを、わかりやすく訴えてくれた作品だった。
最近寝相が激しくなってきた子を微笑ましく見つめながら、いつのまにか寝た。
【記事を書かせていただいてます】
【日常あれこれ】
行ったことないのでそういうセリフ言ってみたい
— chirolpakutiaji (@chirol1660) 2019年4月6日