ヤマモトチヒロのブログ

佐世保在住フリーライターです。育児日記に混じって、地元佐世保の歴史や文化、老舗や人物について取材撮影執筆した記事を掲載しています。

MENU

いつのまにか世界がいっぱい救われていた

子が1歳になるまでのあいだに、世界が何度危機に陥り、そして救われたのかわからない。

観まくったアニメの話である。

決して子育てをサボっていたわけではない。

子の気を引かせたいときや疲れて何もしたくないときなど、NetflixやらAmazonプライムやらがとにかく大活躍してくれるのだ。

とはいえ、子の好みなんてまだ何もわからないため、片っ端から観せて反応を観察していく。

おかあさんといっしょアンパンマンドラえもん、ルルロロ、リサとガスパールピーターラビットシルバニアファミリー、ペネロペ、おさるのジョージゲゲゲの鬼太郎プリキュアセーラームーンといったラインナップだったが、

この中でちゃんと腰を据えて観てくれていたのはおさるのジョージピーターラビットゲゲゲの鬼太郎だ。

おさるのジョージは甘くてキャピキャピした雰囲気ではないし、

ピーターラビットは常にアナグマやらキツネやらフクロウから命を狙われ続けている。ピーターのパパはパイにされているし、ウサギたちは自分が食物連鎖のどの位置にいるかをちゃんと把握している。

ゲゲゲの鬼太郎は新しいやつだが、毎話のように時事ネタが入ったり西洋妖怪がアジア妖怪をコテンパンにしたりとシビアなシーンも多い。

甘くなくスパイシーなお話が好みなのだろうか。

そしてこれらに加え、わたし好みのアニメも観るのだが、下手をすると子ども向けアニメより真剣にハマってくれている作品がある。

笑ゥせぇるすまんだ。それも89-92デジタルリマスター版のほうだ。

あまりに静かに観ていてくれるので、はじめは怖がっているのかと思ったがそうでもないらしい。

とうとう先日、視聴話数が70を突破。喪黒さんの名刺のフレーズが「ココロのスキマ♡お埋めします」になったり、セル画の動きがヌルヌルしたりしている。

子は、とうとう「私の名前は喪黒福造…」のオープニングで身体を左右に揺らすようになった。喪黒さんの歩き方を真似しているのか…。

 

勝手ながら、ここで70話までの私的まとめをお伝えしたい。

・ほとんどの話がお役立ち商品のおすすめ→お客が喪黒さんの忠告や約束をきかずに規約違反→「ドーン!」で制裁されるというパターン

・制裁のレベルはちょっと痛い目に遭うものから死亡まで振り幅が凄まじい

・喪黒さんの営業はわりと強引。はじめから相手を陥れようとすることもある。

・喪黒さんは女性に優しい。女子高生の万引きも「思春期の気の迷い」とかばう

・制裁で使われる「ドーン!」は、野犬を追い払ったりチンピラをのしたり攻撃としても使える。ワニに意思を与えてでっかくすることもできる。

・「ドーン!」は電話越し、PC画面越し、ゴルフボール越しからでも使える

・動物系の名前と見た目のお客はたいていラストで人間やめる

 

こんな感じだ。

子が一体このアニメのどんなところに魅力を感じているのかは不明だが、ブラックユーモアを理解するにはまだまだ先のことだろう。

「怖い」という感覚が芽生えるのも、おそらくもう少し先かもしれない。

まだまだ色んな作品に触れて色んな感情を育んでほしいぞ!と思いつつ、子が大人しくなることに甘えてつい笑ゥせぇるすまんを再生してしまうのだった。

 

先日、市のイベント「させぼ文化マンス」にお邪魔してきた。

年々グレードアップする闇鍋クオリティ…企画運営の質の良さが実感できた。

公共ホールの敷地内にテントサウナと水風呂が登場したのにはホント面白さの極みだと思うし、

テクノロジーを使った遊び心的な展示やトークイベントはもっと若い人に見てほしいと感じた。

東京から来た劇団の公演は大きな刺激になった。

東浜女相撲公演も好評だったそうだ。もちろん佐世保の伝統的な風習や催しなども、色んな形で伝え継いでいくべきだ。

来年もまた楽しみでならない。

 

この頃、子が夫婦のベッドに入り込んでくるようになってとてもせまい。

おまけに猫も乱入してきて大変混み合っている。

幸せなのだが結構寝るのが大変だ。

翌朝がとてもねむい。

 

 

 

 

佐世保が誇る「西沢本店」の手芸フロアを自慢させてほしい

手芸が苦手だ。

編み物をすればまっすぐ編めずに海ぶどうのようなものができるし、

縫い物をすれば縫い糸はあさっての方向へゆく。まともに布同士を繋ぎ止めることができない。

友人のためにマスコットを作ったときは、詰めたはずの綿が逃げ場を求めてわやわやと縫い糸の隙間から飛び出していた。友人に渡す前に、そっと元ある形へと戻した。

当然、学生の頃は家庭科の授業がいやでいやでしょうがなかった。しかしチャコペンとオバアチャン(針の穴に糸通すの手伝ってくれるやつ)への愛着だけはあったと自信を持って言える。

とにかく針と糸を持ちたくなくて、深夜の通販番組でアメリカ人が宣伝していた「塗るだけで綺麗に布が接着!洗濯してもゼッタイ落ちない裁縫クリーム」を本気で購入しようと考えたこともあった。

 

そんな、手芸が苦手で無知なわたしですら、ここはすごいと思う場所がある。

 

佐世保市四ヶ町商店街内に店舗を構えている「西沢本店」の手芸フロアだ。

 

すごいと思う根拠は、

  • 1フロアすべてが手芸と服地売場になっている
  • 日本最西端の佐世保の地にあること

が挙げられる。

 

ちなみにこのフロアは西沢本店の4Fで、他の階はアパレルや雑貨などのショップが入っている。

品揃えに関しては、手芸のジャンルによって評価が分かれるため「なんでも揃っているんだぞ、へへん!」と言い切ることはできない。

 

まずは見てほしい

 

この広さ。

 

f:id:PKyamamoto:20191112132242j:plain



f:id:PKyamamoto:20191112132308j:plain



f:id:PKyamamoto:20191112132341j:plain

f:id:PKyamamoto:20191112132327j:plain



見渡す限り、布、布、布だ。布ダムが決壊している。

f:id:PKyamamoto:20191112132508j:plain



f:id:PKyamamoto:20191112132552j:plain

f:id:PKyamamoto:20191112135615j:plain

お見せしたのはほんの一部だが、柄の情報量が多くて頭がくらくらしてくる。



今回売場を案内していただいたのは、スタッフ歴10年超の針尾さんだ。

f:id:PKyamamoto:20191112132617j:plain

針尾さん曰く、右手に見えますのが初心者向けだそうだ

針尾さんによると、ざっくりこの通路を境に初心者向けと玄人向けに分かれるのだという。

やや語弊があるが、前者がコットンやパッチワーク系生地、後者は洋装服地(化合織、毛織物、シルクなど)という感じで、扱いやすさのレベルが違うということだ。

 

店内の品揃えは約5万点におよぶ。

長崎市や福岡にも支店があるが、九州髄一の規模だそうだ。

 

西沢本店の創業は1830年(文政13年)。滋賀近江國で呉服、綿麻物、陶器などの商いを始めたことが始まりだ。

明治にここ佐世保に店を構え、ファッション事業、服地・手芸・オーダーカーテン、呉服事業を展開。 

f:id:PKyamamoto:20191112132204j:plain

日本一長いアーケード・四ヶ町商店街のなかからも入れます

f:id:PKyamamoto:20191112132752j:plain

以来100年あまりにわたって、布・布・布にこだわり続けた。

かつて、手芸フロアは1階に売場があり、広さも品揃えも倍以上だったそうだ。

服をファストファッションやネットで購入することがメインとなるまえ、洋裁学校が隆盛を極めていた時代。

西沢本店をはじめ、さまざまなブティックや呉服店が軒を連ねていた。 

もれなく洋裁スキルを身に付けていた当時の女性たちは、世界に1つだけの1点ものを創るべくあちこちを駆けまわったのである。

 

意外とある、舞台衣装の需要

f:id:PKyamamoto:20191112132830j:plain

わたしのポージングのリクエストが甘く、針尾さんがレギュラーの西川君になってしまった


フロアの最奥にありながらも異彩を放っているのは、舞台衣装コーナーだ。

佐世保でこんなに必要なのか!?と思うが、意外にも需要は多い。

f:id:PKyamamoto:20191112132923j:plain

おひめさまのドレスのようなものからチャイナドレスに使える布まである

f:id:PKyamamoto:20191112132940j:plain

 

f:id:PKyamamoto:20191112132943j:plain

保育園や幼稚園の先生たち必携の一冊だ


ピアノ発表会やダンス教室、あと幼稚園のおゆうぎ会などのステージ衣装に人気なのだそうだ。

わたしは以前公共ホールの受付窓口で働いていたことがあり、佐世保は意外にも教室やサークルがあることを知った。

毎年きちんと定例発表会が行われ、舞台衣装に身を包んだきらびやかな参加者たちで会場は賑わっていたが、そこと結びついていたとは。

Amaz◯nなど安価で手軽に手に入るこのご時世でも、丁寧な手作りにこだわる人がまだ居るということなのか。

「お母さま方…というより、おばあちゃまが気合を入れてお孫さんに作られるケースが多いですね」

なるほど、佐世保らしい。

西沢本店の客層は、服からドアノブカバーや電話カバーまで、身の回りのものはだいたい自分で作ってきたという手芸スキルを持つご年配の方々がメインだそうだ。 

自身の熟練した技を愛しい孫に捧げたいということらしい。

よくわたしに洋服や小物を作ってくれていた母や祖母のことを思い、少し感慨深くなった。

が、おや、わたしにはそのスキルがないぞ。

どうする…。

 

さて話は戻るが、舞台衣装コーナーの需要で特に佐世保らしいジャンルが、年に1回のビッグイベントとして君臨しているYOSAKOIさせぼ祭りのチーム衣装だ。

YOSAKOIさせぼ祭り』とは

20年続く佐世保の秋の一大イベント。全国からよさこい踊り手やファンがドカッと集まり、鳴子をならし大きい旗を振って「ハッ!」とか「ハーッ!」とか叫んで舞って涙したりする、大変ドラマチックな催しである。

 

衣装は演舞のクオリティやチーム色を出すのに重要な要素の1つだ。 

当然、既製品では物足りないと、徹底的に手作りにこだわるチームも多い。

f:id:PKyamamoto:20191112133139j:plain

さわりごたえがあるぞ

  

ここは一見お会計レジのように見えるが、布のカットコーナーだ。

f:id:PKyamamoto:20191112133244j:plain

よくレジと間違われます

なんと、ここでは10cm単位でのカットが可能なのだ。

他の手芸店などでは50㎝単位を採用するところが多いそうで、これはなかなか珍しいことのようだ。

かつてインテリア売場で布をカットする仕事をしていたわたしは、新人の頃お客のオーダーの+50㎝ほど長めにカットして「あとはそちらにおまかせします」作戦を取っていた。のちのちバレてお局からこっぴどく怒られた。

なので10㎝単位カットなんて尊敬の二文字だ。正確に布を裁つためには、相当熟練した技が必要だろう。

 

ちなみに、カットコーナーの近くにはカーテンの巻売りもある。

f:id:PKyamamoto:20191112133314j:plain

ここで服用の布を調達するチャレンジャーもいるという

腰窓でも90㎝、掃き出し窓サイズだとハサミを入れる部分の長さが180cmからとなるため、かなりハードだ。

おまけに防炎やら遮光機能やら、分厚いカーテンのカットなど想像するだけでも心のハサミの切れ味が鈍ってしまう。いや、心にハサミはあんまりないほうがいいけど。 

 

ふと、年季の入った道具たちに目が行った。かなり使い込んでいるようだ。

「備品で最近増やしたものといえば、作業台1つぐらいですね。しかも色がついてるやつ。これまでのは台の色が真っ白だったので、レース素材とか、白い布が見えづらくって」

白い台で白いレースをカットする・・・。「はだかの王様」に登場する仕立て屋のような気分だろうか。

 

年季の入った道具たちは、長年スタッフさんを支えてきたのだ。

f:id:PKyamamoto:20191112133435j:plain

年季の入った道具たち。亡き祖母を思い出してグッときた

ちなみに右側にあるのは、カットする布用のおもりである。

「売場をウロウロしつつも、結構ここで作業しますね。小学校の体操服用のゼッケンや、運動会用のハチマキもここで製作しているんですよ」

なんと、わたしたちがかつて頭に巻いていたハチマキは、こんな身近な場所で作られていたのだ。

使い終わった後きれいに洗濯をし、アイロンをかけて学校に返却した思い出…。

f:id:PKyamamoto:20191112133511j:plain

陰ながら応援してくれていたのね

 

余談だが、こちらのカウンターではスタッフ手作りのレシピがゲットできる(コピー代が必要、一部有料)。

f:id:PKyamamoto:20191112141245j:plain

空いた時間にせっせと手書きでつくっているそうだ

インターネットでも調べられるのかもしれないが、こうして手渡しでもらうのも温かみがあって良いしコピーの手間も省ける。

洋服に限らず、バッグやエプロン、子どもアイテムなどさまざまなレシピが揃っているので、活用してみてもいいかもしれない。

 

 

わたしが服地コーナーの次に自慢したいのが、ボタンコーナーだ。

f:id:PKyamamoto:20191112133651j:plain

なんかもう標本みたいです

ボタンが入った箱がズラリと壁一面に並ぶさまは圧巻である。

f:id:PKyamamoto:20191112133656j:plain

箱入りってのが良いんです


持参した服とあわせながらボタンを探すお客さんも多いため、売場には鏡とテーブルが設置してある。

f:id:PKyamamoto:20191112133705j:plain

テーブルは、手芸教室などで使用することも多いそうだ。

それにしても、ボタン冥利に尽きる売場環境ではないか。わたしがボタンならここで輝いて一生を終えたい。

 

使い道がわからないレトロな仕様のものもあるが、アクセサリー用でたまに売れるらしい。  

f:id:PKyamamoto:20191112133716j:plain

ちなみに一番高いボタンは、1220円のものだ。

f:id:PKyamamoto:20191112133712j:plain

以前は2000~3000円クラスのものもあったそうだが、時代とともに売場から消えて行ってしまったという。

小学生くらいの頃、ビジューだったかカメオだったかとても綺麗で高いボタンをなけなしの小遣いで買ってお守り代わりにし、あっさり失くして泣きべそをかいたのが懐かしい。 

 

 

ここは毛糸コーナーだ。

f:id:PKyamamoto:20191112134053j:plain

以前はもっとスペースが広かったというが、十分広く感じる

什器1つぶんとかではなく、毛糸専用に1つの空間が設えてある。

以前はベテランの専門スタッフがいたそうだが退職してしまったそうだ。

毛糸専門…勝手だがこんな女性を想像してしまった。

f:id:PKyamamoto:20191107092137j:plain

「あら、いらっしゃい」と気さくに声を掛けてくれる。いつも揺れるイスに座っているし基本立ち上がらない

専門家が抜けた穴は大きい。

若手スタッフはなんとか顧客の要望に対応すべく、編み物の勉強にも励んでいるという。

こうした、古株のスタッフが抜けていくというのも今後の課題の1つだそうだ。

ちなみに手芸フロアのスタッフは女性がほとんどを占めているそうで、男手が足りず力作業が厳しいため、手がつけられない部分もあったりする。

f:id:PKyamamoto:20191107100049j:plain

取り扱いがなくなったものの動かせない縫い糸の什器。個人的にはかわいいのでこのままでもいい

 

 

売場のさらに奥へ行くと、なんだかものものしい雰囲気に。

明らかに素人では取り扱えるレベルではない布たちが「なにしに来たのよアンタ」と言わんばかりにこちらを見ている。

f:id:PKyamamoto:20191112134141j:plain

わたしでもわかる。シルクだし1つ1つが手染めのスゴイやつだ。

「これは・・・!」コナン君ばりにひらめいてみたが、品名が出てこなかった。

「インド更紗、ジャワ更紗ですね」

針尾さんが丁寧に教えてくれた。

f:id:PKyamamoto:20191112134203j:plain

ほんなこてすごかですばい(本当にすごいですねの意)

思わず値札に目を見やる。

「ヒィッ!思っていたよりゼロが1個多いッ!」

 

ここはおあつらえの世界へのゲートだった。

f:id:PKyamamoto:20191112134254j:plain

いったいどんな人が買いに来るのだろう※こちらの催しは終了しています


 

西日本ではここだけ。手芸用品フロアにあるオーダーコーナー

 

f:id:PKyamamoto:20191112134411j:plain
おあつらえ、オーダーメイド。

手芸フロアにある婦人服オーダーコーナーは、西日本ではここだけだそうだ。

東京や各地からわざわざメーカーが訪れて「ウチの布を売ってくれ」とお頼み申すレベルで貴重とのこと。

 

「CHANNEL」「GUCCI」「DORCHE & GABBANA」「GIORGIO ARMANIなどなど、世界の名だたる超高級ブランドの布地が並ぶ。

熟練したバイヤーが東京・大阪などから買い付けた100点を超える特選生地だ。

f:id:PKyamamoto:20191112134441j:plain

ドルチェ&ガッバーナ

f:id:PKyamamoto:20191112134523j:plain

グッチやヴァレンティノ、アルマーニなど

f:id:PKyamamoto:20191112134558j:plain

えーと、えーと、すごい!

どのコーナーも眩しすぎてすごい。

セレブ達を一カ所に集めたパーティーにこっそりお邪魔している気分だ。

しかも油断した場所にカシミヤがそっと畳んであったりして「あっ!そちらにもいらっしゃったんですね!すみませんすみません」と、うっかりチラ見で済ませてしまった自分を責めたくなる。

 

服地だけでも、2ピース1着分で10万超えは余裕だ。もちろん作るアイテムによるが、完成時にはオーダーメイド料金で倍以上の金額になる。

しかしそんなことは、クライアントにとってはどうでもいいことなのだ。

パーティードレス、冠婚葬祭から普段着まで、とことん時間をかけてこだわりぬいた最高の一着を手に入れることにこそ意味があるのだから。

f:id:PKyamamoto:20191107104000j:plain

皇室のあの方も色違いをお召しになっていたというレモラファブリックの布まで。シルクのふくれ織りで、まるで羽衣のように軽い(持ったことはないけども)

 

オーダーメイドの流れは、ざっくり言うとこうだ。

  1. 生地・デザイン選び
  2. 仮縫い(フィッティング)
  3. 本縫い
  4. 完成

f:id:PKyamamoto:20191112134659j:plain

ここでじっくりとクライアントの要望をヒアリングする

f:id:PKyamamoto:20191112175835j:plain

世界中の御洒落マダムたちを撮り続けるアリ・セス・コーエン氏の写真集も常駐



生地選びから出来上がりまでを担当しているのは、服飾デザイナー歴35年の中嶋さんだ。

スタッフの皆さんからは親しみと尊敬を込めて“中嶋先生”と呼ばれている。

f:id:PKyamamoto:20191112134754j:plain

クライアントのリクエストに限りなく近づけるようデザインを起こしていくことも中嶋さんのお仕事だ。

f:id:PKyamamoto:20191107105557j:plain

仮縫いの段階。ここからまたサイズやデザインの確認が入る


奥にある作業スペースも見せていただいた。

f:id:PKyamamoto:20191112134832j:plain

服のパーツに応じた柄あわせや、正確な裁断スキルが要求される。このあたりはチームでの作業になる

1つの洋服をつくるのに約1か月半から2ヶ月。その間、5名のプロフェッショナル達がその手腕を惜しみなく発揮しているそうだ。

数㎜単位の正確さが求められるのは、いったいどれほどのプレッシャーなのだろう。

f:id:PKyamamoto:20191112134907j:plain

毎朝みんなで読み上げる。気合入れるのも大切だもの。

最高の1着に到達するまでには、スタッフやクライアントが顔を突き合わせてああでもないこうでもないと何度も何度も試行錯誤を繰り返す。

オーダー服には、糸や布といった材料に加え、クライアントの愛情とこだわりがもりもりと込められているのだ。

この、完成に至るまでの過程が楽しくて、そして最高の着心地にオーダーメイドの沼にハマってしまうひともいるようだ。

頭の先まで沼に浸かってしまうと、既製品は着られなくなってしまうらしい。

 

いったいそんなクライアントさんってどんな人たちなの?

中嶋さんがこれまで担当してきたひとのなかには、「おあつらえしたお洋服(50万強)を着てカラオケに行くのが楽しいの」という女性がいたそうだ。

または、旦那さんが長年連れ添った奥さんへドーンとプレゼント、などなど。

うらやましいというより、とても素敵なことである。人生を盛大に謳歌している、すがすがしいお金の使い道だ。

 

佐世保だけでなく福岡や 中国地方あたりからわざわざ来店するクライアントもいるとのことで、わが街自慢がとても意外なところにあった。とても誇らしい。

しかし現在のところ、この中嶋先生が引退されるとのちの担い手が居ない状態だという。

そういうわけで、中嶋先生の元で修業したいという次世代の服飾デザイナーを随時募集中だ。

佐世保のためにも熟練した腕をお持ちの方、宜しくお願いします。

 

 さて、オーダーコーナーから一歩出れば、さきほどぐるりと案内してもらった、ものづくりを応援するひとたちが働くステージだ。

「この仕事のやりがいは?」と、針尾さんに尋ねてみた。

「お客様のお役に立てるよう励みながら、わたしも多くを学ばせてもらってます。そこで磨いた技や知識をお客様に還元して喜ばれるのが楽しいですね」とにこりと笑う。

接客や勉強を通じて新しい刺激やアイディアが生まれ、それが作品に反映されることもやりがいなのだろう。

ものづくりに終わりはない。研究と実験の日々だ。

f:id:PKyamamoto:20191112134926j:plain

北欧テイストの布コーナーを飾るニョロニョロに技術が還元されることもある


「刺繍糸ひとつで作品の印象もガラッと変わるんですから、あなどれないんですホント」

 

まるでアートの世界だともおもう。

とどまることのないものづくりへの情熱が、西の果てで静かにホワホワ渦巻いている。

f:id:PKyamamoto:20191112135002j:plain

いくつになっても、「ヒラメイて・キラメイて・トキメキたい」のだ

 

ちなみに彼女のお気に入りの布は、こちらのアンパン柄だ。

f:id:PKyamamoto:20191112135024j:plain

てっきりアンパンマンのことだと思っていたが、ほんとうにアンパン柄だった

 

 

 

さいごに、佐世保の淑女たちに人気のアイテムを一部ご紹介したい。

 

【繭玉】

f:id:PKyamamoto:20191112135044j:plain
発泡スチロール製の玉に、さまざまなちりめん布を貼り合わせて作るもの。糸を通してぶらさげたり、置物として飾ったり。佐世保市江迎町の街を彩る春の風物詩ともなっている。

 

【キューピーの衣装】

f:id:PKyamamoto:20191112135108j:plain

f:id:PKyamamoto:20191112135114j:plain

もはや孫の服をつくる感覚だ


ほんとうにさまざまなバリエーションがある。街中でおばあちゃんと親しくなると、おもむろに渡されることがある。

 

ほかにも、5円玉をベースにカラフルな糸をぐるぐると巻き付け成形した「5円玉マスコット」や、ビーズで作られた中型のプードルなどがある。これらもまた街中で(以下略)。

 

 

ものづくりはやっぱり楽しい

わたしは活字の世界であるが、作品を創るということはやはり楽しい。

しかもそれが形を残し、人の手に渡り、喜ばれるものであればなおさらだ。

自慢ではないがわたしの母はこの道40年以上のドール作家、同居しているお義母さんもまた40年以上服や小物などを極めに極めている。

2人ともまったくテイストが違うので、とても面白い。

 

【母】

f:id:PKyamamoto:20191113122146j:plain

ⓒ1996-2019 moko-doll

【お義母さん】

f:id:PKyamamoto:20191113173550j:plain

ⓒ十七番倉庫 by natsuerogers

 

創作は自分の分身をつくることにも似ているなと思う。

 

そんな2人に囲まれていながら、わたしには数ミクロンも彼女たちの持つ技術が受け継がれていないことが悲しいところなのだが、

とりあえず自分にできることを地道にやろうと思う。

しかし、子どもが色々と認識できる前には、雑巾の1つでも縫えるようになっておきたいものである。

f:id:PKyamamoto:20191113173544j:plain

お義母さんがネットで購入したニコラスケイジのクッションカバー

 


 

 

 ※取材にご協力くださった西沢本店手芸フロアのみなさま、誠に有難うございました。

 

 

 

【記事を書きました】

★全国の観光情報メディア「SPOT」にて佐世保を発信させていただきます!

佐世保バーガーの地元民おすすめと、その近くの観光名所まとめ! | SPOTtravel.spot-app.jp

 

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」で入選しました。めちゃくちゃ嬉しいです。

明治から昭和初期を生きた「三角コレクター」徳田真寿について書く - ヤマモトチヒロのブログpkyamamoto.hatenablog.com

 

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」もう一息でした。めちゃくちゃ嬉しいです。佐世保にお立ち寄りの際はぜひ佐世保玉屋へ!

親子三代で佐世保玉屋へ - ヤマモトチヒロのブログpkyamamoto.hatenablog.com

 

 

佐世保市のローカルメディア「させぼ通信」で書かせていただきました。

あの赤いゾウさんのスーパー、エレナの「アノ歌」のひみつを探ってみた | させぼ通信sasebo2.com

 

三ヶ町の路地裏にある『立ち呑み処&猫雑貨屋 旅と猫と』に、猫好き女子でまったりしてきたよ【毎月22日はニャンニャンデー】 | させぼ通信sasebo2.com

 

 

★好きです、西海楽園フォーエバー。 

pkyamamoto.hatenablog.com

 

 

孤高のアドリブ芸

蚤の市に行ったりしているあいだに10月が終わった。

f:id:PKyamamoto:20191101155658j:image

 

11月だけどそんなに寒くないね、という話をした。

ちなみに昨夜のハロウィンでは、夫はジョーズのコスプレをした人物と街中でハイタッチをしたそうだ。

至って平和な佐世保のハロウィンである。

そういえば、子になにかコスプレを、と思ったけれど何も準備していなかったので、普段どおりだった。

時期はズレてしまうが、今度てんとう虫のコスチュームを着せようと思った。

f:id:PKyamamoto:20191101155904j:image

 

子の激しい自己主張が続く。

絵本をひらいてよ、読んでよ、仕掛け絵本の穴にわたしが指を突っ込むからその裏から母がなんかモジョモジョするなりなんなりやってよ、という簡単なものから、

わたしが持ってくるもの全てに命を吹き込みなさいよ、といった難易度の高いものまでさまざまだ。

手渡された側のわたしは、なんらかのアクションを起こさないと彼女に怒られるのである。

敬愛するFさんがご自身の娘さんのことを「チコちゃん」とおっしゃっていたが、なんとなくその気持ちがわかるような気がする。

しかし、この「お題を与えられてリアクションを求められる」というのは本当に無茶ぶりだ。

もともと日常会話に加えてアドリブ芸が最弱なわたしなので、とても苦しい試練なのである。

声色を変えることはもちろん、アクションの1つ1つに活きがなければならない。

一度、スマホをクッションで隠し見ながらもう片方の手でパペットを機械的に操っていたところ、子に早々に見破られ手にはめていたパペットを抜き取られ放り投げられるというお叱りを受けた。

それ以来、変なごまかしはやめようと心に決めた。

 

ごまかしの精度をあげねばならない。

片方でパペットマペットも驚くような精度の高い操作をこなし、もう片方の手ではスマホを巧みに操り情報収集およびテキスト作成に勤しむのだ。

これができれば誰も悲しまない、なんと素敵なことだろう!

おそらくそんなことはできるはずもないので、きちんとそれぞれ別々に時間を確保しなければならないなと思った次第だ。

ところで今日は1が3つ並んでいるけど、フライングでポッキーを食べてはいけないだろうか。10日後まで待てないよ!

 

 

【記事を書きました】

★全国の観光情報メディア「SPOT」にて佐世保を発信させていただきます!

佐世保バーガーの地元民おすすめと、その近くの観光名所まとめ! | SPOT

 

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」で入選しました。めちゃくちゃ嬉しいです。

明治から昭和初期を生きた「三角コレクター」徳田真寿について書く - ヤマモトチヒロのブログ

 

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」もう一息でした。めちゃくちゃ嬉しいです。佐世保にお立ち寄りの際はぜひ佐世保玉屋へ!

親子三代で佐世保玉屋へ - ヤマモトチヒロのブログ

 

 

佐世保市のローカルメディア「させぼ通信」で書かせていただきました。

あの赤いゾウさんのスーパー、エレナの「アノ歌」のひみつを探ってみた | させぼ通信

 

三ヶ町の路地裏にある『立ち呑み処&猫雑貨屋 旅と猫と』に、猫好き女子でまったりしてきたよ【毎月22日はニャンニャンデー】 | させぼ通信

 

【一時閉店中】猫にもなれちゃうふしぎなお店、有田町の『工房 FLOWERS』をたずねて | させぼ通信

 

料理との"出会い"が楽しめる、佐世保の穴場スポット♪気まぐれオーナーのこだわりが光る下京町の『ご飯屋ぐーぐー』でランチ | させぼ通信

 

【一時閉店中】猫にもなれちゃうふしぎなお店、有田町の『工房 FLOWERS』をたずねて | させぼ通信

 

料理との"出会い"が楽しめる、佐世保の穴場スポット♪気まぐれオーナーのこだわりが光る下京町の『ご飯屋ぐーぐー』でランチ | させぼ通信

 

【珍スポット】佐世保の「ゆうれい坂」って知ってる? | させぼ通信

 

 

 

ながさきプレスさま「佐世保ごちそう大図鑑vol.5」のお仕事が楽しかったよって話

この度ありがたくお声掛けいただき、「佐世保ごちそう大図鑑vol.5(発行・ながさきプレス 10/27)」でお仕事させていただきました!

f:id:PKyamamoto:20191031211243j:image

お義母さんに「あなたがやったトコふせん貼っといて!」と言われたので貼りましたが、

お仕事の跡が目に見えてしみじみ感動…

お義母さんには子のお世話でとても助けていただきました。ありがたや。

 

こちらの本、通称SASEBON(させぼん)は、佐世保東彼杵・西海・平戸・松浦の飲食店460店舗と観光情報がもりもりと1冊に凝縮されてます。

わたしは少しではありますが、佐世保エリアの一部店舗さまの写真とテキストを担当させていただきました。

 

出来上がった本を手に取った瞬間は感動もひとしおでして…

紙の本ってやっぱり良いですね。

内容は佐世保愛があふれんばかりで、読みながらニヤニヤしてしまいました。

そしてなにより、プロの料理の写真が素晴らしすぎる!

このお仕事を受けて痛感したのが料理写真の難しさでした。いかに料理やお店の個性を出しつつ、美味しそうに伝えるか。自分の力不足を感じつつ、存分に勉強にさせていただきました。

 

 

以下、わたしが担当させていただいた飲食店さまの魅力をざっくりと↓↓↓

 

【イワモトコーヒーさま】

テキストメインで、お写真は一部掲載です。すごくお話好きで人当たりの良いオーナーさんが素敵でした。サイフォンコーヒーきれい。

 

【cafeないしょさま】

オーナーさんの情熱ほとばしる本格的なガレットが食べられるのはここだけ。長崎和牛のったやつ食べてみたい。

 

【キッチントンブリーさま】

タイ旅行で食堂に入ったかのような異国体験ができます。佐世保にあってよかった…。

 

【タコスの店エレーナさま】

老舗店の深みと貫禄も一緒に味わえました。また改めてお話を聞かせていただきたい!

 

【音食亭さま】

ハマると危険なちゃんぽんがあります。メニューの誕生秘話はもう一度じっくり聴きたいほど面白かったです。

 

プラトンの隠れ家さま】

幼い頃に嗅いだ、昔ながらのちゃんとした洋食屋の香りがエモさ爆発で泣きそうになりました。家族を連れてまた行きたい。

 

【海街食堂さま】

その名の通り、佐世保の魚介の魅力てんこもり。おしゃれ。オーナーさんは写真を撮るのがお上手で海の男気質。

 

【ラーメン小淀さま】

家系もちもちつけ麺最高でした。そばつゆ方式で飲み干すのが吉です。ロケンローなスタッフさんとの会話も楽しかったです。

 

【クイーンケバブさま】

ソース全部がけできるんだって!!やったことあるアメリカ人がいるらしい。とても優しい日本語が聞ける場所ですほっこり。

 

【いくたさま】

ジャンボエクレアにかぶりつきたい!!!こちらも佐世保スイーツの老舗。

 

くるりん木風店さま】

高級食パンの味に目覚める。やはりいつどの時間で行っても駐車場がいっぱい、すごい。

 

【小料理かん田さま】

同じく子育てに励む奥さまとお話ができて盛り上がりました。取材より長かったかも。家庭で育んだ幸せも食材の1つであるのだなぁ。

 

 

ライターとしての課題も感じつつ、とても楽しい経験となりました。

佐世保のみならず佐賀、福岡、熊本あたりにお住まいのみなさま、なんか大きい書店に並んでるかもなのでお見かけした際はぜひお手に取ってご覧ください!

そして佐世保に遊びに来てくださいね〜。

 

そしてそして、もしこの記事をご覧になった方でヤマモトにお仕事くださるという方はTwitterDMなどでお知らせいただけると飛んで喜びます。宜しくお願い致します。

 

 

 

【記事を書きました】

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」で入選しました。めちゃくちゃ嬉しいです。

明治から昭和初期を生きた「三角コレクター」徳田真寿について書く - ヤマモトチヒロのブログ

 

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」もう一息でした。めちゃくちゃ嬉しいです。佐世保にお立ち寄りの際はぜひ佐世保玉屋へ!

親子三代で佐世保玉屋へ - ヤマモトチヒロのブログ

 

 

佐世保市のローカルメディア「させぼ通信」で書かせていただきました。

あの赤いゾウさんのスーパー、エレナの「アノ歌」のひみつを探ってみた | させぼ通信

 

三ヶ町の路地裏にある『立ち呑み処&猫雑貨屋 旅と猫と』に、猫好き女子でまったりしてきたよ【毎月22日はニャンニャンデー】 | させぼ通信

 

【一時閉店中】猫にもなれちゃうふしぎなお店、有田町の『工房 FLOWERS』をたずねて | させぼ通信

 

料理との"出会い"が楽しめる、佐世保の穴場スポット♪気まぐれオーナーのこだわりが光る下京町の『ご飯屋ぐーぐー』でランチ | させぼ通信

 

【珍スポット】佐世保の「ゆうれい坂」って知ってる? | させぼ通信

子にいつも顔を踏まれている

朝7時に起きて、夜20時には猛烈な眠気がきて日付が変わる前に眠る、という生活をわりと長く続けている。

1歳を過ぎた子は、よりエネルギッシュさを増し、我々よりも活発に動き回っている。

わたしは楽な体制でいたいのでごろんと横になるが、子はお構いなしに柔らかい足でわたしの顔面を踏んづけてくる。

顔面はヤダ、と思い優しく子の足を押しのけようとすると、髪の毛の根元に引っかかりそのまま地面に着地した。

耳元でブチブチとわたしの毛が臨終になる音を聴いた。

その後バランスを崩し、結果わたしの顔面に子のひざが降りおろされることになるのである。

そんな夜をいつも過ごしている。

 

従兄弟の結婚式で家族総出で名古屋へ向かった。

まだ飛行機に子を乗せるのが怖かったので、夫に無理を言って休暇を取ってもらい、面倒を見てもらうことにした。

お義母さん共々、子のお世話をしていただいて有難い。

1泊2日、小さなDバッグ1つで荷物を準備した。

子が居ない久しぶりの遠出、かなり身も心も軽かったが寂しさもあった。

母と妹1と他愛もないおしゃべりをしながら長崎空港へと車を走らせる。

空港は平日にも関わらず人が多くて、旅行気分をさらに盛り上げてくれた。

空港内のセブンイレブンでサクッと朝食を買い、颯爽と飛行機に乗り込む。

3人がけシートの窓側に座る。

やったぁ景色が見える、と思うが、楽しむのはたいてい15分程度だ。

ANAの機内では、搭乗の際の注意事項の映像が流れていた。

出演者が全員歌舞伎俳優で、それはもう所作が美しかった。

朝食用に買った2つのおにぎりが、どちらもマヨネーズ系だったのでガッカリした。なぜ気がつかなかったんだ。

1時間半ほどでサクッと名古屋国際空港に着いた。

ほんと文明すげぇなと思った。

 

空港に降り立ち、荷物を受け取りに。

ここはやはり地元アピールゾーンになっているようだ。

遠慮がちに、荷物が流れるレーン沿いに生産量日本一だという招き猫がパラパラと置いてある。

f:id:PKyamamoto:20191025230907j:image

なぜか、レンズが曇っていた。

f:id:PKyamamoto:20191025230935j:image

 

妹2と落ち合う。

「わからなくなるからあまりウロウロするな」と釘を刺される。

ウロ、としかけたが、もときた到着口の前に戻って3人でおとなしく固まっていた。

妹2がこちらにやってくる前に、ヨッピーさんの記事を読む。

名古屋観光にありがちな、行くところなんもない問題を解決した | SPOT

名古屋なにもなさすぎて、とうとう三重県の話題が出てきたのでどうしたものかと思ったそのとき、ちょうど妹2がやってきた。

彼女はいま九州を離れこっち方面に住んでいる。

ここから電車で30分程度の場所かと思いきや、羽田空港経由で1時間ほどかけて到着したらしい。

本当にわたしは、この辺の土地感がまったくない。

 

とりあえずどこかでご飯、ということになったが、土地感ゼロ事前リサーチゼロの我々は吸い込まれるように高島屋へと導かれた。

とりあえず人の流れに流された形である。

バカでかいビルには小さく赤い文字で「takashimaya」と書かれている。

そうか、これがあの玉屋の紙袋と同じ紙袋の高島屋か!!と1人で小さく感動した。

させぼあるある:佐世保を思い出しちゃう紙袋 | させぼ通信

 

とにもかくにも最上階のレストランフロアへ向かったが、平日なのにどこも激混みだった。

味噌カツ味噌煮込みうどん、きしめん…せっかくだから鉄板の名古屋グルメを味わいたいという思いが裏目に出た。

思うにいま目の前に並んでいるのはわれわれと同じ観光客だ。

身なりとか雰囲気とか。われわれ含め単純なやつらだ!

こういう場合、夫ならサクッと地元民が行く穴場店を探し当てたりするのだが、わたしにそんなスキルはなく、

Googleに「味噌カツ」と検索ワードを入れたところでこういうショッピングエリアの店かチェーン店しか出てこないのだった。

結局、若干空いていた味噌カツ屋に入った。

f:id:PKyamamoto:20191025230724j:image

すこぶる美味だったが、ボリュームがすさまじく夜の叔父たちとの会食が心配になった。

 

その後もまたウロウロして、ホテルにチェックインして同室の母とおしゃべりした。

f:id:PKyamamoto:20191025231222j:image

f:id:PKyamamoto:20191025231241j:image

部屋にあった、写真集かカタログかわからないおしゃれな本。

その後、作成中の記事原稿をフロントのFAXで先方に流したりした。

ものすごく仕事をしているひとみたいだった。

1枚あたり110円でコンビニの2倍かよと思ったが、確実に届いてくれるならそれも良しとお願いした。

 

f:id:PKyamamoto:20191025231809j:image

妹2から台湾土産をもらったりしつつのんびりしているあいだに、叔父たちとの会食の時間が迫っていた。

場所はなんと、高島屋でわれわれが昼食を取った店の隣だった。

ふたたびわれわれは、高島屋へと吸い込まれた。

f:id:PKyamamoto:20191025231856j:image

雨降る夜の名古屋。ブレた。

 

 

 

 

【記事を書きました】

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」で入選しました。めちゃくちゃ嬉しいです。

明治から昭和初期を生きた「三角コレクター」徳田真寿について書く - ヤマモトチヒロのブログ

 

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」もう一息でした。めちゃくちゃ嬉しいです。佐世保にお立ち寄りの際はぜひ佐世保玉屋へ!

親子三代で佐世保玉屋へ - ヤマモトチヒロのブログ

 

 

佐世保市のローカルメディア「させぼ通信」で書かせていただきました。

あの赤いゾウさんのスーパー、エレナの「アノ歌」のひみつを探ってみた | させぼ通信

 

三ヶ町の路地裏にある『立ち呑み処&猫雑貨屋 旅と猫と』に、猫好き女子でまったりしてきたよ【毎月22日はニャンニャンデー】 | させぼ通信

 

【一時閉店中】猫にもなれちゃうふしぎなお店、有田町の『工房 FLOWERS』をたずねて | させぼ通信

 

料理との"出会い"が楽しめる、佐世保の穴場スポット♪気まぐれオーナーのこだわりが光る下京町の『ご飯屋ぐーぐー』でランチ | させぼ通信

 

【珍スポット】佐世保の「ゆうれい坂」って知ってる? | させぼ通信

 

アイテム多めの愛

子のバースデー2日前に、母と妹1がお祝いに来てくれた。

当日以降がなかなか来れないので、早めにお祝いしたいからということだった。

11時ごろに到着するという話を事前に聞いてはいたのだが、子が眠り始めたのにあわせてついつい一緒に眠ってしまい、目を覚ましたのは呼び鈴がなってからだった。

親子ともども寝起き頭で母と妹1を迎え入れる。

 

母は猫パペットを手作りしてくれた。さっそく手にはめて遊んだ。

後頭部に子の名前がデカデカと刺繍してある。かわいい。

子は喜びながらも、殴打やぶん投げを披露していた。

ビーズの目を取ろうとしていたので「粘膜系はやめて!粘膜系はやめて!」と必死に止めた。

妹1はとにかくたくさん贈り物を買ってきてくれて、箱入りのスムージーや1歳からのかっぱえびせんスマホ型おもちゃなどバラエティ豊かだった。

一番謎だったのはジャイアン柄のトレーナーだが、子の性格を考えるととてもマッチしている気がしたので素敵なチョイスだと思った。

f:id:PKyamamoto:20191010162704j:image

大きめサイズだったので、おそらくきちんと着ることができるのは来年の秋ごろになりそうだ。

きっとその頃にはジャイアンとしての素質が十分に育っているはずだ。

子の周りにプレゼントを並べて記念撮影を試みるが、どうしても動いてしまうためうまくいかない。

あれこれとつかみにかかる中、箱入りのスムージーにやたらとご執心で、中身を開けろとわたしに押し付けてくる。

箱の状態でなぜ食べ物だとわかったのか、そこは謎のままだ。

 

知恵熱も超え、一段とものを考えるような顔つきになってきた。

悪いことをしているときにはこちらの様子をチラチラ伺うし、いたずらモードに入ると小悪魔のような笑みを浮かべる。

「ホレ!これされたら困るだろ、ホレ!嫌なら構ってよ!」という声が聞こえてきそうだ。

 

夫のタロット遊びに付き合った。

1歳の選び取りで並べたら面白いんじゃないかという難しいことを話しながら、なんとなく夫から差し出された束からランダムで引いたカードの意味が「上ばかり見ずに下を見ろ」的な内容だった。

ちょうど今の境遇と重なる部分があり、占いですらない戯れだというのにひどく心に刺さってしまった。

そしてその翌日、家計簿とスケジュール帳を購入するに至る。

わたしがもしレジ担当だったら、「ああ、心機一転したいんだこの人」と思うくらいにわかりやすい行動だった。

スケジュール帳をきちんとつけて終わったことがないのに毎年買いたがるのは恒例行事で、しかし今年こそはきちんとしようとは思う。

たいてい中途半端に書き込んだそれをたまに開く程度になり、それが仕事先だった場合「こいつどれだけスケジュール穴だらけなんだ」と印象を抱かれてしまいがちだ。

そんなところからもう卒業したい。

フルカラーの家計簿を開き、財布に溜まっていたレシートを黙々と処理していく。

かわいいイラストの中に、わたしのいびつな字がぽつぽつと現れることで空間が歪んでいく。やはり自分の字は好きではない。

そして数10分後、やはりこの手の作業は苦手だと痛感するのであった。

 

 

 

 

【記事を書きました】

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」で入選しました。めちゃくちゃ嬉しいです。

明治から昭和初期を生きた「三角コレクター」徳田真寿について書く - ヤマモトチヒロのブログ

 

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」もう一息でした。嬉しいです。佐世保にお立ち寄りの際はぜひ佐世保玉屋へ!

親子三代で佐世保玉屋へ - ヤマモトチヒロのブログ

 

 

佐世保市のローカルメディア「させぼ通信」で書かせていただきました。

あの赤いゾウさんのスーパー、エレナの「アノ歌」のひみつを探ってみた | させぼ通信

 

三ヶ町の路地裏にある『立ち呑み処&猫雑貨屋 旅と猫と』に、猫好き女子でまったりしてきたよ【毎月22日はニャンニャンデー】 | させぼ通信

 

【一時閉店中】猫にもなれちゃうふしぎなお店、有田町の『工房 FLOWERS』をたずねて | させぼ通信

 

料理との"出会い"が楽しめる、佐世保の穴場スポット♪気まぐれオーナーのこだわりが光る下京町の『ご飯屋ぐーぐー』でランチ | させぼ通信

 

【珍スポット】佐世保の「ゆうれい坂」って知ってる? | させぼ通信

坐薬メモリー

子の高熱が続きあたふたしている。

病院へ行き、その後平熱に戻ったのですっかり安心していたものの、再び夜に高々と熱が上がってしまった。

おまけにぐずって苦しそうだ。わたしまで泣きそうになる。

「38.5度を超えていて、つらそうだったら使ってください」と処方されていた坐薬をしぶしぶ冷蔵庫から出した。

出来れば使わずにいたかったのだが。

しかしいつかは避けられぬことだろうとして、子の坐薬デビューをプロデュースすることとなった。

処方箋の袋に入っていた説明書を見ながら子の尻と向き合う。

子の小さい菊門を見つめながら、わたしもかつて父や母に坐薬を入れてもらっていた時のことを思い出していた。

「はい、チュルンとするからねーチュルン!」という掛け声のあと、肛門から奥2cmぐらいのところが少しツーンとしてモヤモヤ異物感。

熱が下がってぼんやりした頭でトイレに行くと、なんか脂っぽいのがお尻から出てきてびっくりした気がする。

そんなことを思い出しながら説明書を読み進めると、「脂のようなものがお尻から出ることがありますがまったくご心配はございません」と書かれていた。

なんだ、心配することなかったのか、と20年以上後にその真実を知ることとなった自分がおかしくなった。

もし子が話せるようになったらちゃんと伝えてあげようと思う。

そういえば、脂身の多すぎるお刺身をバクバク食べたと翌日などはお腹のゆるさとともに同様のものが流れ出たりする。

あの不快感とはまた違うかもしれないが、子がそれを味わうのかもと考えるとなんだかソワソワする。

坐薬を注入して1時間ほどして、すやすや眠る子の額に手を当てると、熱が引いていた。

直腸すごい。

なにかあればやはり直腸だな、としみじみ感じた。

今日は子とともに自宅待機のようだ。

 

 

 

【記事を書きました】

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」で入選しました。めちゃくちゃ嬉しいです。

明治から昭和初期を生きた「三角コレクター」徳田真寿について書く - ヤマモトチヒロのブログ

 

デイリーポータルZ「自由ポータルZ」もう一息でした。嬉しいです。佐世保にお立ち寄りの際はぜひ佐世保玉屋へ!

親子三代で佐世保玉屋へ - ヤマモトチヒロのブログ

 

 

佐世保市のローカルメディア「させぼ通信」で書かせていただきました。

あの赤いゾウさんのスーパー、エレナの「アノ歌」のひみつを探ってみた | させぼ通信

 

三ヶ町の路地裏にある『立ち呑み処&猫雑貨屋 旅と猫と』に、猫好き女子でまったりしてきたよ【毎月22日はニャンニャンデー】 | させぼ通信

 

【一時閉店中】猫にもなれちゃうふしぎなお店、有田町の『工房 FLOWERS』をたずねて | させぼ通信

 

料理との"出会い"が楽しめる、佐世保の穴場スポット♪気まぐれオーナーのこだわりが光る下京町の『ご飯屋ぐーぐー』でランチ | させぼ通信

 

【珍スポット】佐世保の「ゆうれい坂」って知ってる? | させぼ通信

 

 

【日常あれこれ】